投稿日: Dec 21, 2011 12:48:54 AM
情報公開を望む方へ
2011年を振り返るテレビ番組がいろいろ放映されているが、何と言っても3.11の大震災と原発事故から考えると、他は取るに足らないもののように思えてしまう。まだ分析はされていないようだが、社会思想的な何らかの変化が起こっていると思う。これは人口減少と共に経済が退潮になる日本にとっては、考え方を切り替える転機になって、よい方向に舵取りがされることを願う。しかしそれと同時に、清算しなければならない過去の遺物も明らかにすることになると思う。
記事『ジャーナリズムはなめられている』では、今問題のセシウムが何時どのようにバラ撒かれたのか、なぜそうなったのかについて、ちゃんとした説明がされていないことを書いたが、事故当時から炉心溶融・メルトダウンが起こりだしていること、格納容器の内部の圧力が異常に高まって、ベントによる容器内から大気中への排出が避けられないことはテレビでも言われていた。しかし何時どのようにベントが行われたのかの発表は東電からは部分的にしか行われず、そこにはセシウムをバラ撒いた話はなかった。東電や行政はクチをつぐんでいたのである。
一方海外からは放射能の拡散のシミュレーションが、大気中や海流に沿ってどのようになるかの情報発信がされていた。そもそもインターネットのWebというのはCERN(European Organization for Nuclear Research)から生まれたことを思い起こさせる。ティム・バーナーズ・リーは核事故は待ったなしなので、各国に散らばっている核関係の実験者が瞬時に情報にアクセスできるように、しかも同時に多くのコンピュータ間で同じ情報が共有できるようにWebを開発した。福島原発も平常時は炉の温度や水位や圧力をモニタしてWebで見られるようにしていた。しかし一旦事故が起こると情報を隠したのである。
水素爆発で計器類が破損したので平時のようなモニタはできないにしても、常時手動でも何でも計っているのだから、詳細を公開すべきである。それがないので民間で大気中の放射能を測定して公開しているデータからセシウムの件も推測せざるを得ない。ココを見ると、この件を突き止めようとする国立群馬大学の早川由紀夫教授の発言に対して未だにもめているようで、文部省は文書で訓告を出しているが、 ソーシャルメディアの時代において、twitter vs 紙の文書 というちぐはぐなコミュニケーションが行われている。いくら世間でネットの利用が広まったところで、そこに出てくることを拒否しているのが、行政であり、不都合を抱える大企業であるということなのだ。
世界的には「アラブの春」が起こったが、日本の中にも未だ融けない情報の冬がある。