投稿日: Feb 08, 2011 11:36:25 PM
新たなメディア分野がカオスになっていると思う方へ
デジタルメディアに関しては技術革新の一つの中心であり、日常入ってくるニュースからビジネスのヒントが多い。そこで乗り遅れないために自分も何かをしなければ、と思う人がとりあえず出来そうなことを始めてしまう。しかしその経験を踏まえて次の段階に進めるかというと、そこでの考察がなければ、あれこれ別の出来そうなことをとっかえひっかえしているだけで、会社の成長にはならない。今の日本のメディアビジネスの多くが、1980年代のニューメディア以来20年以上にわたってそのような状態になっている。電子書籍も名前やデバイスを変えながら同じ所をグルグル回っている。AmazonのKindleでもAppStoreでもそういう状態を突破したものであることを考えてみよう。
つまりビジネスの視野の狭さが、あれこれ目の前のことだけにこだわって、将来とか事業分野とかにイマジネーションを広げるのを妨げている。消費者としてデジタルメディアに関心をもっているだけなら視野云々を言う必要は無いが、かつては日本語とか日本の商習慣に守られていたメディアビジネスが、インターネットでグローバルなサービスになりつつあるので、プロにとっては日本的な視野の狭さはこれから命取りになるだろう。黒船云々という危機感があるなら、真っ先に自分の視野を変えなければならないだろう。
国内の電子書籍は各ビジネスモデルが小さすぎて雑多なものがカオス状態になっているように、TVも3桁の何百チャンネルはカオスとしか言いようがない。パソコンでTVを録画したり見る人が出てきたことから、そこを発想の起点にすることはスマートTVに至る自然な考察である。大発明ではないにしてもこういった必然的な進展を想像する能力が、大きなビジョンを描く基礎として大事だろう。しかし、Webを制作している世界も、古くからの印刷の世界も、絶え間なく変革の風を受けながらも大きなビジョンがなかなか出てこない。一方アメリカは国を挙げてクラウドに力を入れて、IT業界も従来のソフトウェアやサービスのビジネスが一変しようとしている。
アメリカ人の考える大きなビジョンは大抵の場合は単純で、世界制覇である。どこにでも共通して使えるコア技術を徹底的に磨くのに、最も優秀な人材を連れてくるようなことをしている。シリコンバレーに世界から人材が集まってきた時のように、アメリカンドリームをグローバルに広げていて、日本のベンチャーもアメリカに行く機会が増えた。しかし世界制覇だけが大きなビジョンとは限らず、彼らが見落としていることもいろいろあるだろう。
また日本に居ながらグローバルにサービスをする機会も増えている。今まで日本の企業は暗黙の前提として日本を対象にしたサービスをするのが当たり前だと考えていただろうが、世界に散らばる日本人向けのサービスとか、海外進出した日本企業の手助けとか、グローバルな展開のきっかけというのも増えている。
今までのビジネス環境を白紙に戻して、イノベーションを追い風に、これからの社会のあり方にフィットしてブレイクするものはなんだろうか、という指向から大きなビジョンは出てくるのではないだろうか。