投稿日: May 05, 2010 8:14:11 AM
何を信じればよいのか迷う方へ
既存メディアの崩壊と、きっとこういうことが起こるだろうという話は非常に多くなりつつある。しかしそんな話をあれこれ気にしても、そこからは何も生まれない。現実をよく見ないような立脚点で考えても、そこでの希望は見当はずれになるからだ。出版は技術音痴だった。日本語ワープロや文字コードの調査研究をしていた時に、いろいろなニーズを調べたが、原稿用紙の升目の真ん中にきれいに字が打てるように、などという要望はワープロ開発の目的からすると論外で呆れた。文字コードについても似たことがあった。これらにおける問題は開発意図を出版界に伝えられないことだった。だから見当違いな要望が出てくる。
どうして出版界の理解がずれるのかを考えると、自分中心で今日で言うところのバリューチェーン的な視点がないこと、しかも過去にこだわりが強すぎること、そのため世の中の変化が見えていないことで、それは電子Bookのニュースは扱っているくせにニュースの意味がわかっていない5月3日の朝日新聞でも同様だ。既存メディアは「世間知らず」という病にある。だからTOPから現場までアンテナを広げて、情報ビジネスの経営環境の現状がいかにを複雑化してしまったかをよく見て、足りないところをどう補うかを考えなければ、未来どころか存続も危うくなるのだ。頭の中から過去の経営環境のイメージを消さなければならない。
メディアにかかわるビジネスは皆この複雑化で悩んでいて、それはITベンチャーも同じである。まずその共通のスタートラインに並べるところまで知識・情報力を持とう。今世紀に入って情報はWebファーストになった。その後のインターネット環境の整備と利用者の日常利用率の向上は凄まじいものがある。ある情報流通の会社の話 Akamai が 3.45 TBits / 秒のピークを記録 によると、「3.45 Tbps は、米国会図書館の全書籍プリント・イメージを 1分以内にダウンロードする速度に等しい。 」ことをやっているという。つまりコミュニケーション/エンターテイメント/ビジネスにおいて、インターネットが最大のチャネルと して台頭しているという見方がされている。
だからインターネットの中に未来の選択肢があるのであって、自分の過去にはない。当面は知識・情報力を持ってトレンドの真似をしてお茶を濁すこともできるだろうが、ネットでサービスができる会社になるように、CIO,CTO的な機能がある組織に作り変えていかないと、選択すべき未来像も自分で作れないだろう。会社の中心が変わらなければ、IT・ネットの世界と議論が成り立たないで、間違った方向に行くことになる。