投稿日: Jul 20, 2012 12:33:23 AM
次のkobo端末のことを考えてしまう方へ
昨晩は楽天koboの速攻レビューで賑わった。読書端末としての価格は最低ラインなので、当然ながらKindle以上のものを期待するのは無理があるのだが、電子ペーパーを見慣れていない人が買った場合には、液晶のタブレットと比較してのレビューもあってkoboには辛いものもあっただろう。AmazonのKindle日本上陸が遅れている中で、うまくデビューのタイミングをつかんだと思うが、本当は楽天側が辛いレビューも想定して、利用者啓蒙のキャンペーンを先にしておくべきだが、おそらくいろいろな面で時間がなかっただろうと思う。記事『Koboは成功するのか?』ではEPUB3読書端末の用途が広がるだろうことを書いたが、同梱されたEPUB3青空文庫をモリサワのフォントで読める点に関しては評価は高かった。
つまりDTPになじんでいる人とか自炊派の人にとっては遊んでみたいデバイスといえるだろう。マイクロSDが大容量で安くなったので、今までPCに文字やコミックのコンテンツを溜め込んでいた人にとっては、koboは携帯音楽プレーヤのように持ち運びできるビュアとして活用される可能性はある。世界的に言えばコミックはカラー化しているが、日本だけコミックといえばモノクロで今日まで来たので、電子ペーパーにはぴったりなのである。その点はKindleでも同じだが、現状ではKindleにはないモリサワフォントとEPUB3縦組みのアドバンテージを活かす使い方を今のうちに広めておくことが、最大のKindle対策ではないだろうか。
昨日のレビューの段階ではFAQとかもない状態なので、楽天のサポート体制がどうなるのかというのも気になる。三木谷氏は自分がハードを売るようになるとは思わなかったと語っていたが、日本のメーカーとは違ったソーシャルな使い方のノウハウの広まりとか、要望の吸い上げができるようになると、ネット企業らしい展開になる。Amazonはどうしても日本にローカライズしたサービスは後手になる可能性はあるので、そこがkoboの日本戦略としては重要だろう。
しかしもっとも重要なのは電子ペーパーの将来性だろう。koboも次は普通のタブレットを出すだろう。カラー液晶のタブレットの値段が劇的に下がっていくと、装置の値段差は2000円とかになってしまう。モノクロの電子ペーパーの液晶に対する優位性は、屋外の強い反射光でも使えるとか、バッテリーの持ちがよいことなどに絞られてしまう。しかしカラー液晶でお楽しみが多いのは個人向けにはアピールするところが多いが、業務用端末としては余計なものと考える場合があり、シンプルに電子ペーパーを使いたいという需要はある。貸し出しをするような用途も同様にシンプルにしたいことがある。
こういうタブレットとは別の電子ペーパーの用途開発のための情報交換やサポートまで楽天が行うようになるといいのだが…
関連情報 2012年7月25日(水) 『出版のマーケティングを見直す 復刊ドットコム』