投稿日: Nov 06, 2012 12:52:30 AM
日本の電子書籍は穏やかに進むと思う方へ
日本でもAmazonの扱う書籍の比重が非常に高まり、また出版社もAmazonでの売れ行きやレビューなどの反応を見ることは日課になっていて、出版界にとっては大きな存在感のある企業となったAmazonではあるが、それで出版界が救われるとか潰されるという話は聞かれなくなっている。またAmazonが著者とダイレクトにつながって自主出版を拡大するという話も、出版流通のメインストリームではなく、また単純な登竜門でもなく、ゴミのような出版物があふれることで、あまり出版業界に影響を及ぼさないと思われるようになった。
Kindleも日本での始まりかたは物議を醸す事も無く、何年か前の騒ぎは何だったのかと思えるほどソフトスタートである。Kindleはデバイスによらずに、クラウドサービスでユビキタスな読書を可能にするので、これでどのような読書習慣ができるのか、その習慣に向いたコンテンツは何なのかというところに焦点が移っていくだろう。これは紙の本において、昔なら円本、新書、文庫本、などが出てきて、書籍の入手が容易になり、いろいろな場所で読書ができるようになったことの延長上にあることで、それぞれのスタイルに向いたコンテンツが開発されてきたことと同じように考えればよい。
個人的な思い出としては、文庫本スタイルで絵画の何々派の紹介をしていたものを身近に持って良く見ていたことがあって、今ならそれはタブレットにぴったりだと思う。いずれにせよ画面で読書をすることは確定してて、それに向けた企画競争の時代に入るはずである。しかしこれらは出版の革命というほどのものではないだろう。Amazonはあくまでも編集済みの出来上がった出版物を扱うわけだから、そこに革命はなくて、もし出版に革命があるというなら、それはもっと情報源のところから起こる変革であろう。例えばソーシャルな編集といった冒険はAmazonは行わないだろう。
インターネット時代に起こった真の革新は、Googleの検索、Amazonのサプライチェーン、eBayの商品発掘、YouTubeのコンテンツ発掘、などであろうと思う。facebookに関しては、そこにあるコンテンツのアウトプットにまだ中途半端なものを感じていて、コラボレーションのHUBにはなりそうにない。fbがどうリアルワールドに左右するのか、つまり金の動きとどう関係するのかは見えていない。少なくともマーケティングとはちょっと違うようだという評価になりつつあると思う。Google、Amazon、eBay、YouTubeに関しては、YouTubeがまだ広告以外に道が見出せないのだろうが、情報源にもっとも近いもので、ソーシャル性もそこそこあって、スマートTVを巡る動きでも必ずYouTubeは話題になり、メディアの革命につながっていく可能性はある。
既存の出版の企画折衝・制作プロセスやマーケティング・プロモーションによらずに、すべてネット上のコラボレーションで完結する出版モデルが、出版の革命になると思う。