投稿日: Sep 26, 2012 1:38:18 AM
決断の時期が迫っていると思う方へ
元年と噂された時から2年経って、いよいよAmazonの電子書籍も日本上陸だが、これを待ってましたと受け止めているところはどれくらいあるのかなと思う。つまりこの2年間に黒船に対して乗り込むのでも対抗するのでも日本でどれだけのことをしてきたかということである。大きな進展はEPUB3かとも思うが、まだベンチャー企業のようなところ以外ではEPUB3をデフォルトとするまでには至っていないところが多くある。その筆頭が出版デジ…云々であるわけだが。
別にEPUBだけが問題なのではないが、出版ビジネスの基盤となるところがどのように変わりつつあるか、という象徴であって、その意味はコンテンツである原稿データを印刷会社が管理する時代が終わったのだということだ。つまり出版社が自分でコンテンツの管理からeBookの制作、さらに最終パッケージの品質チェックなどの管理をしなければならない。実際には作業はアウトソーシングすることが主流にはなると思うが、Amazonに最終パッケージを渡すまでのすべての作業のコントロールタワーが出版社でなければ、出版社の地位は怪しくなるだろう。
日本の出版社にいる方は本つくりが好きな人が大半で、コントロールタワーの仕事はしたくないかもしれない。しかし本作りだけするなら、デジタルコンテンツの時代は編集プロダクションで十分であって、フリーの編集者や編集プロダクションが著者と組んでプロジェクトをして、販売をAmazonに任せるということが出来るようになる。編集プロダクションに足りないのは販促・マーケティング機能なので、出版社はデジタルコンテンツの販促・マーケティングに関して独自のものを持たなければ、ブランド力を発揮できなくなる。これは実際には各出版社の得意分野として基盤は出来ているものであろうが、それをネット上の利用者の振る舞いにあわせて適切に露出し、利用者とネット上で接点を持つようにしていかなければ、Amazonでの売上げも伸びていかないだろう。
電子書籍のニュースもまた賑わってくるだろうが、それは記事『$49のタブレットが意味するもの』で、タブレットの新製品の話題を追っかけることよりも、利用者のリテラシー向上とともに発展するソフト化・サービス化を目指すべきであることを書いたように、出版ビジネスの再設計が迫られていると思う。記事『変わる出版マーケティング』では書店側がどれだけ様変わりしてきたかを取り上げたが、出版社自身が自分で様変わりできないと、新興書店のような新興デジタル出版が活躍する時代になるだろう。
電子出版再構築研究会 名称:オープン・パブリッシング・フォーラム Ebook2.0 Forumと共同開催
10月17日(水)16:00-18:00 新しい出版マーケティングの時代