投稿日: Feb 19, 2014 1:32:25 AM
まだゆとりがあるのか
よくいわれることだけれども、提案営業ということで顧客の事業をいろいろ調べて、「これは絶対いい!」というソリューション提案ができたとしても、先方にやる気がないとか、取り組む体制ができていないことはよくある。だから大したソリューションにならなくても、ちょっとしたコストダウンとかの提案を小刻みに続けていく中で、相手の会社が取り組まざるを得なくなるような、「機が熟す」のを待つのである。今世紀に入ってから、「これからはXMLを使って…」というセミナーなども数えきれないくらい行っていたが、世の中の「機が熟す」のは思った以上に遅い。
前世紀末は2000年問題ということもあって一気にWindowsにいろいろなものがシフトしていったので、その勢いでXML化が進むかと思ったが、むしろここ10年ほどはWindowsとともにXMLも失速したようにもみえ、我慢の時代が続いている。
しかし遅れはしていても、データやコンテンツにタグをつけておいて、あとから自由自在に自動処理をするという方向に進むことは間違いない。その枠から外れた考え方は遠回りになってしまう。
今日のようにEPUB3がデフォルトになる前には、電子書籍の中間フォーマット云々という議論もあったが、そこでびっくりしたのは、IT関係者でもオブジェクト・オリエンテッドな考え方をしないで、 場当たり的な案を支持する人がいたことだ。
コンテンツとかデータが長い期間にわたって使われるとか、広く利用される場合には、その利用上の約束事を事前に決めておかなければ運用できないものでは、IT環境や利用分野が変化するとすぐに破たんしてしまう。だから後に開発の追加や構造の再構成が可能なようなレイトバインドの考え方がベースになければならない。
だからすでにせっかくタグのついたコンテンツやデータがあるものを、別の中間フォーマットにもっていく必要はなく、むしろ中間フォーマットの作業は無駄になる。
例えば出版の執筆から編集・制作・改変・更新などに必要だったプロセスを見直して、作業の重複を取り除き、データの信頼性を高め、発信までのサイクルを短くするなど、仕事の質的な向上をする目的があれば、コンテンツのライフサイクルに必要な要件をあらかじめタグ化して最初から持たしておくことができる。
写真でいえばデジカメのExifなら、撮影日時/メーカー名/モデル名/解像度/撮影方向/シャッタ/絞り/ISO感度/測光モード/フラッシュ/露光補正ステップ値/焦点距離/色空間/GPS/サムネイルといったメタデータが入っている。だから画像データが独り歩きしても何らかの適切な自動処理が行いやすい。
しかしもし、従来の制作プロセスを一切変更したくないならば、あえてソースにタグを入れるのは手間であるし、だいたいどんなタグを入れれば役に立つのか見当がつかないだろう。XML化が頓挫したケースもみてきたが、その大多数は今のビジネスのやり方を変えたくないところだった。それでは仕事の質も向上しなければ合理化もありえないわけで、そんなところに提案したのが間違いだったということなのだろう。実際ITに関係していてもそういう会社が多いのが日本の実態である。
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