投稿日: Mar 16, 2016 1:2:36 AM
先般、散髪に行ったら、前にテレビがついているところで、放送ではなく新たなスマホの予約システムの説明が流れていたが、それはビデオ撮影ではなく、どちらかというとデジタルサイネージのような静止画にモーションを組み合わせたような動画であった。まあパワーポイントの品の良いようなものではあるが、以前のビデオ説明が役者の卵のような人たちが芝居をするプロモーションが多かったのに比べて、単刀直入なやり方である。
この場合に見ている人は頭髪を刈られているのでインタラクティブな要素はないが、おそらくこれからは、芝居と映像撮影と静止画とモーションと、ボタンを押すようなインタラクションを組み合わせたデジタルメディアに人々は取り囲まれるである。
しかし意外に現実のメディアとしてはこの要件にぴったりのものが無いのは不思議だ。Webに動画を貼るのが一番近いかもしれないが、文字や静止画のモーションの部分は先に別にオーサリングしておかなければならない。まだHTML5やSVGでアニメを作る簡単な制作環境はないからだ。
実際には静止画・文字に短いモーションを咥えるのはPhotoshopで処理しているだろうから、制作できる人は広範に居ることは間違いないし、日本人はアニメなどが得意だから今後表現技法としてもさらに磨きがかかってくる分野がここにあるように思える。ただしそうなるとPhotoshopでは役不足で、Flashに相当するようなものが求められるだろう。
つまり動画撮影とかCGによる3D/2Dアニメとかによるフル動画の世界と別に、オブジェクトをちょっとずつ動かす表現でプレゼンや操作説明をする動画が増えていて、その一部は今デジタルサイネージとして街中にあるわけだが、これは看板・ディスプレーの世界に留まらず、あらゆる視覚メディアで使われようとしているし、また動画でも静止画でもない「作品」としても認知されるようになるだろう。過去には環境映像として滝とか池とか沐浴とかが作られたように、絵画とか写真の延長上にあるものである。
記事『動かせる写真』ではパノラマとかARのことを書いたが、環境映像とか芸術作品であってもインタラクティブ性をもつものは出てくるだろう。ゲームとかアミューズメントの世界ではゴーグルをつけたVRによって、人の首の動きによって情景が連動して表示させるものがあるように、環境映像も天候を反映して表示に変化をつけるとか、工夫がされるだろう。
以前東京写真美術館で「液晶絵画」という展示会があり、まだシャープの亀山工場がブイブイ言わせていた時で、そういう大型液晶パネルによってクリエーターたちが作品を作っていた。一定間隔で撮影した静止画をつなげたタイムラプス動画とか、見ている人が写りこむものとか、パノラマとか、だいたい考え付くものはあったように思う。
こういう静止画が動く/動かせるものはそれぞれ個別の呼び名があって、それが人に分かりにくい原因になっている気がする。市民権を得るには一般的な名称が定まって欲しいものだ。
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