投稿日: Aug 05, 2011 11:32:23 PM
なぜ社内で馬鹿馬鹿しいことがまかり通るのかと思う方へ
フジ系列東海テレビ放送番組の中で『夏休みプレゼント主義る祭り』(このタイトル自体が意味不明であるが、それはさておき)として、岩手県産ひとめぼれ10kg当選者のテロップが、音声とは別に、怪しいお米「セシウムさん」、汚染されたお米「セシウムさん」、という文字が出たため、大問題となった(http://www.youtube.com/watch?v=CUMdBz--zsA)。東海テレビは、担当者が誤って表示、仮テロップを操作ミスによって誤って表示、と釈明し、不適切な表示とか、大変常識を欠いた不謹慎な内容であると、何度かあった放送やweb上のお詫び(http://tokai-tv.com/owabi.html)で述べている。また担当役員が岩手のJAに出向いてお詫びしている姿もYouTubeにあるが、なにかしっくりこないところがある。
実際に電波に乗せてしまったのは誤操作だから『誤って』であるが、怪しいお米「セシウムさん」、汚染されたお米「セシウムさん」という文字を入れたのは操作の誤りではなく、担当者が意図的に行ったことであり、東海テレビ内部のふざけあっている職場の雰囲気が露呈してしまったのが今回の事故だ。つまりリハーサルに集まっていた関係者は皆、このテロップを見てニヤニヤしながら準備をしていたのだろうと思えるくらいで、誰一人この内容をすぐに消去せと怒ったりはしなかっただろうから、本番にこのようなものが残ったのは事実である。
3.11の後で物流が滞り、スーパーに商品がなくなった時でも、棚がガラガラになっていく様が放映されたが、これを見ていて思ったのは、現場に居合わせた取材陣が、せっかく取材に来たのだから潤沢に商品が並んでいたのでは社に帰って怒られるから、カメラを回す際に「その、売れ筋の商品の陳列を、もっと減らせてください」位の注文をつけていたのではないか、ということだ。これは大雨や台風の報道においても、判りやすい極端な映像を探し回って報道番組を組み立てていると思えるところがあるからだ。過去にイベントなどで取材を受けた時の印象では、彼らは5秒で「オッ!」と思わせるような素材はどれかと探していたし、内容説明も5分で判るようにしてくれ、ということで事前の予習も足りないし、モノの本質を見極めようという姿勢もなかった。
風評被害が出たときには、バカな主婦や高齢者が軽率な行動に出るからだ、という論調がよくあるのだが、それと同等の軽率な行動がマスメディアの内部では日常化していると見てもいいだろう。番組の打ち合わせもあまり真剣には見えず、大枠だけ決めれば「あとはよろしく」となって、話題は「あそこにいいオネエチャンがいる」というように切り替わってしまう。以前からヤラセ番組が問題になったりするが、外注や下請けがポカをしたということではなく、本局がどんな番組作りをしようとしているのかという姿勢が外注や下請けの選択にも影響しているわけで、当然どんな人材をプロデューサ・ディレクタ、管理者にするかすべての責任は経営陣にある。
だからといってマスメディアがダメというわけではなく、NHKETV特集「ネットワ―クで作る放射能汚染地図~福島原発事故から2ヶ月~」は素晴らしい番組だった。先の大震災は政府や官庁よりもメディアが真っ先に頼りになることを印象付けたし、TVのリアルタイムなドキュメンタリー力は比類なきものであることも明らかだ。しかしこういった特性を活かした番組作りを指向しているのかどうかというのが問題で、自分で実社会の諸問題と向き合って悩む姿勢がなければ、人気を稼ぐことしか目標が無くなってモラルが崩壊することは先のマードックの大衆紙廃刊でもみられることだ。