投稿日: Aug 01, 2014 11:15:45 PM
ガザに住んでいると、空からこういうものが降ってくる。これは突然道路の上に落ちたのではなく、何か柔らかいものの上に落ちてバウンドして道路に転がってきたのだろう。世界の世論調査をみるとほぼすべての国でイスラエルのガザ攻撃に非難がされている。イギリスのようにイスラエル建国の張本人の国でさえ80%の人は非難している。イスラエルのユダヤ人でも反対する人がいるし、アメリカのユダヤ人の反対行動もある。アメリカのマスコミはユダヤ系が多いが、それでも非難する論調が多い。そんな中でもアメリカはイスラエルに武器の緊急追加援助を行っている。
当然日本でもガザ攻撃を非難する行動はあるが、このことがピンとこない人も多いのが特徴である。それは遠い国だからということもあろうが、やはり世界の出来事は日本人の関心事にはなり難い面があろう。世界史で習ったことなどは大人になると覚えていないことになる。しかしヨーロッパでは世界史は現代につながっている。今の社会の成り立ちは世界史を考えないと理解できないからである。
ガザに関していえば、今のガザ地区はかなり狭まってしまった結果で、本当はもっと広い。この地は中東戦争でイスラエルが占領したが、大昔にさかのぼってもイスラエルの一角ではなく、ペリシテ人の地といわれたところである。ペリシテ人はアブラハムがメソポタニアからやってくる以前から居た人たちで、アブラハムはペリシテの王に挨拶に行っている。
ノアの子孫のセム・ハム・ヤペテの分化では、アブラハムはセム系の人たちであるが、ペリシテはエジプトと近い人たちでハム系である。セムとハムの区別はよくわからないが、ユダヤの地では先住民がハムで、アブラハムの子孫がセムということになる。
しかしそれがそのまま今のイスラエル対パレスチナの対立になっているわけではない。対立のきっかけは聖書ではアブラハムの孫にあたるヤコブ(後にイスラエルと改名)の子供たちがペリシテ人を騙し討ちにしたことから始まる。その後たびたび攻防があってもイスラエルに編入されたことはないし、支配されたこともない。隣国のような関係である。
ペリシテがイスラエルの西にあるのに対して、パレスチナといわれる人はイスラエルの東側で、アブラハムの子や孫のアラブ人の系統である。ガザは名称としてはパレスチナ自治区の一部ではあるが、歴史的にはヨルダン側西岸地区などとは異なる人々である。
ペリシテはハムでありエジプトと人種的にも位置的にも近いこともあって、エジプトのイスラム系慈善団体であるムスリム同胞団系の過激派であるハマスの拠点となっている。弱者支援のムスリム同胞団は医療支援などもしていて、ガザでもハマス系が病院をやっていたりするが、ハマスが関連しているということでイスラエルはその病院を爆撃した。
エジプトは本来ならペリシテを支援してもよさそうだが、アメリカがエジプトを懐柔して武器供与などをしているので、その見返りとしてイスラエルに関連したことには手が出せないようになっている。先般アラブの春とかいう出来事があって、軍事政権から選挙による政権になったら、ムスリム同胞団が政権をとってしまったので、また軍事クーデターのようなことを起こさせてムスリム同胞団を追い出してしまった。この軍事政権にはアメリカは再び武器供与をして黙らせることができたことが、今回のイスラエルの強硬なガザ攻撃の背景になっていると思う。
日本人でパレスチナの問題とガザの問題を混同しないで理解している人はどれくらいいるのかと思う。世界の出来事は日本人の関心事にはなり難い一面である。
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