投稿日: Dec 12, 2011 12:56:49 AM
いずれも日本に欠けていると思う方へ
社会起業家は日本には馴染んでいないかもしれない。NPOのようなボランティアを継続的に続けていくには、結局は人材や資産がうまく回る組織を作り、管理せざるを得ない。NPOのような自発的な関与によって成り立っている組織に、会社のような管理機構やスキルアップ・モチベーションアップを持ち込むのは、なかなか難しいと思える。法人化するつもりなら公益の社団法人とか財団法人を作るという方法もあるが、制度上の縛りが生じる上に、会社と同じような経営をしなければならない点で自由度が狭い。
欧米の場合は多くのボランティアや福祉関係の活動のベースには教会があり、教会が継続的に活動できるように運営されている上にのっかっているので、結構長期的な活動ができる場合がある。私も日曜学校で図工や演劇を手伝った経験から、一人の子供が幼稚園から社会人になるまで観察できる場は、世の中になかなかないと思った。つまりデザイナになった人が子供の頃どうだったのかということを一続きで見ることができた。また定年退職から介護が必要な晩年までというのも家族以外の方でも知り得るので、人の一生をサポートするボランティアは、ロングレンジで活動が継続できる教会では行いやすい。これはアドホックな活動をするNPOと良い補完関係を作っている。
日本は少子高齢化で生活圏におけるいろいろな課題が生じている。こういったことにマスマーケティングで培ったコミュニケーションのノウハウは役に立たない。オレオレ詐欺の注意を喚起するTVCFがあるが、声をかけるだけで終わっている。結局昔からの狭い社会の絆をなんらか現代風に復活させて、生活者が互助的に暮らすようにしていかなければならない。その場合に生活圏(徒歩とかバスで近隣)の単位での小さいビジネスが効率的に行えるための何かが必要で、このことは駅前の寂れた商店街がどうしたらよいのかということとも関連している。つまり小エリアのビジネスと同時に地域の生活者の問題を考えなければならないということだろう。
しかし生活者各人にとっては自分の生活圏だけの問題であっても、日本というスケールで考えるといずこも同じ問題を抱えていることになる。だから生活圏の課題解決に必要なことをプラットフォーム化するニーズがある。アメリカの地方新聞とか、そのお株を奪ったcraigslistのようなソーシャルメディアも同じような背景のもとに生まれているといえる。つまりリアルなソーシャル活動と重なるようにソーシャルなコミュニケーションツールが重なっている。そしてリアルの活動が継続的で活発であるほど、そこで使われるソーシャルメディアも強力なツールになるという関係があると思える。
リアルで何の努力もないところで、ソーシャルテクノロジーで何かを起こすとか、ソーシャルメディアでビジネスをしようというのは虫が良すぎないか? まずはリアルなソーシャルビジネスに役立つことが明らかになれば、ビジネスのコミュニケーションにも利用できるという順序を踏むことは、パソコン通信やインターネット初期から一貫していると思えるのだが。