投稿日: Feb 26, 2013 12:48:53 AM
おつきあいが重要と思う方へ
デジタルメディアは紙の『製本』の糸を切り、コンテンツをバラバラに扱うことを可能にした。だから記事『出版業界の気づいていないこと』ではバラバラのコンテンツをデジタルメディアが組み合わせて多様な伝達をする時代になることを書いた。記事『倍々ゲームのタブレット』ではB2BのビジネスプロセスがITやネットで革新する際に次第にペーパーレスに進むことを書いた。ここでもコンテンツはバラバラになって、必要な部分だけが必要な時点で参照されるという意味で、ビジネスプロセスに組み込まれるようになる。こういったサービスはなかなか出版社が取り組みにくいテーマであり、新しいビジネスプロセスによるソリューション開発をするところがコンテンツを必要としている。
例えばGoogleは検索サービスを拡張する際に航空写真や地図の情報も必要になって情報源とタイアップしたようなB2Bのビジネスを出版社がするならば、デジタル化はeBookを超えたビジネスが期待できる。これを自由電子出版の長谷川秀記氏は備蓄型の電子出版と呼んでおられたので、記事『ボーンデジタルな出版に向けて』で引用したのだが、売り上げが立て難いといわれる。要するにビジネスモデルが全く異なるので、出版社とソリューション開発会社の共同で行うべきものであるといえる。
現状ではCookPadのようにソリューション側がコンテンツを揃える例が多いが、出版社や編プロがデジタルコンテンツを管理できるようになるとソリューション開発側とのパートナーシップがやりやすくなるはずだ。ゼンリンがGoogleと提携したのも航空写真に基づいたデジタル地図をもっていたからだ。ソリューション開発というとビジネス用を考えがちだが、これはタブレット時代では次第にコンシューマ向けのものが増えてくる。その分野における競争で、出版社の企画力や情報力が活かせるのか、IT側がコンテンツを集めてDB化するかの戦いが熱くなってくると思う。
TVで紹介していたものに、フィットネスの診断・指導のサイトがあったが、これはフィットネスクラブやジムで指導してくれることを、自宅で自分で管理しながら行えるようなものだった。これがスマホなどで連動するならば、自分の目標値やスケジュールの空きを入力すると、「これから2時間の間にどこからどこまで走れ」というような指示がでてくるものができるだろう。この診断・指導のメニューを作る際に、ダイエットや運動や地図や用具のコンテンツが必要になる。
また病院の待合の際に問診をするシステムを作るとしても、コンテンツが必要になる。こういった目的指向のアプリとコンテンツは一体になるはずだが、IT側も出版側も単独で両方を扱うのは大変なのだから、B2Bの関係を作ることが必要だ。ただ現状の出版社はそれを苦手としているというのは残念である。