投稿日: May 10, 2013 1:37:27 AM
本気なのかと思う方へ
ハフィントンポスト日本版のことをどうこういうのはまだ早いことを記事『メディアはライターのためにあるのではない』に書いたが、ジャーナリズムとしてのポリシーが表面に出ていないことが気になる。というのは現状のショボいブログサイトの姿を晒しておくことは、将来どのような方向に行くにしてもマイナスイメージを積み重ねるだけだからだ。ごく一部でも切れ味のよい鋭い部分を持たないとジャーナリズムとしてはまずいだろう。そもそもハフィントンポストという名前は、単にハフィントン姓だけを意味するのではなく、アメリカの硬派新聞 The Washington Post を意識してつけられたと思う。 The Washington Post はウォーターゲート事件でニクソン大統領を辞任に追い込んだ新聞である。それと張り合うくらいの気概が本家ハフポストにはあったと思う。
ちなみに、本日のハフポストの RIDE,SALLIE....は、Mustang Sally という曲の歌詞で、内容は高等教育のコストが急上昇していることを取り上げている。ニュアンスは「いい加減にしてくれ!」というところだろう。こういうノリで堅い内容をカジュアルに伝えている。日本版のトップは「ドル=100円突破 4年ぶり」というベタなタイトルで、ロイターの記事が貼ってあるだけである。何のひねりもないし、この程度ならpaper.liで誰でもできる。
だから日本版はまだジャーナリズムにはなっていないわけで、本家は朝日新聞と組むよりも東京新聞のようなところと組んだ方が動きやすかったのではないかと思う。日本の読売・朝日というウン100万部も発行している新聞は中庸になりすぎて、もはやジャーナリズムには成り得ないからである。むしろ東京新聞は一桁小さいのと、なぜか The Washington Post と同じような部数で、アメリカのジャーナリズムに近い運営も可能なのでハフポストとタイアップしやすかったかもしれない。
それとジャーナリズムを目指すなら看板ジャーナリストは必要で、CNNの『アンダーソン・クーパー360°』 のようなキャンペーン的な企画がないと、継続的にコメントを重ねていくことはできないだろう。つまり意味あるコメントを求めるならば、それまでの議論の文脈が見えるようにしないと、何時までも同じレベルの書き込みが続いてしまうからだ。まとめっサイトの役割は話の経緯が見えることにあるのと同じである。こういう仕掛けもまだ見受けられない。
一番気になるのは、本家が成長した際にAOLに売却したことで、そこでマネタイズするのが目的だったなら、無料で原稿を書いている人のことはどうなる?と議論されたものである。日本版もベンチャーによくある売り逃げなのか、日本に新しいジャーナリズムを定着させようとしているのか、証左を見せないと本格スタートできないだろう。