投稿日: Dec 20, 2011 12:13:51 AM
着実に歩みたい方へ
Steve Jobs の死後、Steve Jobs の本を読む気が起こらない。Appleの事業から学ぶのではなく、Steve Jobs から学ぼうというのは、彼のような人は居ないので、読んでも役に立たないだろうと思うからである。逆に法人企業としてのAppleの事業から学ぶものは何かあるのだろうか? 結局Apple事業の中で成功したものはSteve Jobs 自らが陣頭指揮をとったものばかりなので、Appleという会社に何か秘策が残っているとも思えない。当面はSteve Jobs が遣り残したものを追求していくことになろうが、その先にどのような未来的なビジョンが出てくるのかは誰もわからない。
事業には新陳代謝があるので、いつも次に花開くかもしれない新しい事業開発とか新たな事業メニューの追加を経営者は考えることになるが、そこでは3つの才能が必要になると思う。第1はアイディアで、第2はプロジェクト管理、第3は仕上がりチェックで、Steve Jobs は第2はともかく、第1と第3は自分でやっていたように思える。実際には世の中で誰もやっていないことをしなければならない局面はあまりないので、第1は借り物でもよく、第2、第3の能力が一般の経営者には問われるのではないか。サラリーマン経営者の場合は第3が弱いのだろうが、日本の状態をみていると肝心の第2のプロジェクト管理も弱いように思える。
企業の中ではいろいろな案件が平行して動いているが、新たな媒体を作るような仕事の場合、だいたい必要なポイントは決まっていて、事業計画の段階からそこをきっちり考えておくことがプロジェクト管理の前提になるだろう。
1.仕組みをつくる
Web・スマホでも紙媒体の時でも、情報入手から表現配布までの流れをモデル化して、システム化できるところをどうやったら効率的かを考える。市販のツールやシステムの評価、今後の技術動向などを勘案して、競争力のあるモデルを考えねばならない。
2.サンプルを作る
単にデモを作るというよりも、小さくPDCAをまわして、ツールの評価や、作業者の自信、方法論の練り上げ、など評価をすることが重要で、単なるルーチン作業の設計ではなく本番時の改善目標も考えておいた方がよい。
3.売り込み
雑誌なら広告とか、スポンサー、最初の媒体がサンプルになって、次なるビジネスにつながるように、横展開のマーケティングや多くのステークホルダを巻き込む提案活動の用意をする。さらなる売上見込みが立てば、投資を増やせられるだろう。
4.契約・会計
実際の収入の見込みにが立つに従って、支出の見直しが必要になる。やっているうちに目標が変わってしまわないように、何を優先するのか、どこからカットするのか、アウトソーシング先なども最初から考えておくべきだ。
5.運用・サービス
ネットでの情報サービスの場合は、雑誌のような購読料が難しい代わりに、アフィリエイトとかECとか、その他アルバイト的な収入もある。デジタルでもマス媒体を狙うのではなければ、そういった収入が増えていくように考えなければならない。これらは制作をするサービスにおいても、作業の工賃だけでなくサイトの監視や書き込みのチェックなど日銭になる要素である。
日常いろいろな作業が輻輳する中でも、各案件に関するこれらの計画と実績を常にチェックすることで、ノルかソルかのメディアビジネスから、PDCAによるメディアビジネスに転換できるのがデジタルメディアの特長であろう。