投稿日: Nov 15, 2013 12:48:38 AM
今必要な自己革新
日本の電気会社のエンジニアが韓国のサムスンなどに再就職して、そこで特許をとっているのを丹念に調べたデータがWebに載っていた。今日のサムスンが取得する特許の数から比較すると取るに足りないほどの数ではあるが、かつては日本の代表的なエンジニアの働き場所が日本には無くなってしまって、こうならざるを得なかったことに無念であるという意見もある。しかしこれ自体はそれほど悪い兆候でもなんでもないように思う。
これを無念に思うのは大和民族純血主義とでも言うものが背後にあるかもしれない。その対極となるのがアメリカのシリコンバレーであって、世界中から有能で野心的なエンジニアが集まる仕組みを作ってしまった。要するに日本に足りなかったのが何なのかを考えると、日本に有能なエンジニアを集めて開発させることが不十分だったということだろう。
頭脳の流出とか国際的な引き抜き合戦は今に始まったっことではなく、第2次大戦の頃からドイツの科学者がアメリカとロシアに雇われて競い合うようなこともあったし、アメリカでマイコンCPU戦争の結果intelが圧倒的に勝って他のCPU開発者がアブれた時には台湾や韓国の半導体会社にエンジニアが流れたこともあった。
ITビジネスがグローバルな戦いになるに従って、国境を越えてエンジニアが移動することは珍しいことではないのである。要は今日のビジネス戦争に合わせたエンジニアの採用とか彼らを活かすための管理ができる組織になっているかどうかの問題であり、日本の純潔主義的な会社よりも、台湾や韓国の会社の方が大胆に今日的マネジメントを進めている。だから日本の企業も経済活動拡大を目指すなら、そういった自己革新は必須になったといえるだろう。
アメリカとイギリスとカナダの間では元々人材交流という点での垣根が低かったと思うが、アメリカは他の近隣のメキシコや中米に技術移転をしてビジネスパートナーとすることをしてこなかった。一方日本は台湾・韓国・香港・中国その他近隣の国との交流が密で、調達や製造移管などを頻繁に行ってきたので、それらの国々も日本の製造業から多くを学んで工業化とかIT化を果たすことが出来て、それが今日の東アジアパワーになっている。だから今の日本の立ち位置を捉えなおすと、多くのパートナーに囲まれているメリットを考えるべきである。
実際のところ東アジアの経済的発展は日本製品の購買を増やしている面があって、アメリカとメキシコの関係よりも好ましい関係になっている。当然輸出を伸ばすには国内マーケティングよりも困難な面はいろいろあろうが、欧米人よりは日本人の方が東アジアの事情に通じているのだから、漠然とグローバル競争をするよりもアジアに重点を置いた戦略をとるほうが対応米企業との競争では有利になるはずだ。
その点からも、もっと多くの日本のビジネスマンがアジアの企業で働いて、緊密なビジネスをするようになった方がよいであろう。