投稿日: Feb 17, 2014 12:29:7 AM
あの金があるじゃないか
日本の1000兆円を超える国債の引き受け先の中で金融系の会社が多いということは、金融機関の集めた金のうちで民間の投資に回される分がそれだけ少ないわけだから、自由主義・資本主義に反するはずで、経済は国家管理の様相を強める。
国民の意識としても結局は国に金を集める方を選んでいるようにもみえ、戦後のドサクサのように国が民業に手出し口出しができなかった時のような自由さとかは日本で再現されにくいのではないかと思う。つまりベンチャー育成とはいいつつもいろんな規制が多くあって、金も動きにくいとあっては、日本のベンチャーを海外の自由主義的な背景で起こってくるベンチャーと戦わせるのは不利なように思える。
しかし考え方を変えると、国債に回っている貯金などをベンチャーの投資に流れるようにすれば、日本のベンチャーにも資金はそれなりに行くようになるだろう。2013年には振り込め詐欺の被害額が500億円ほどあったそうだが、こういうジジババ資金が若い孫の独立起業資金にまわればよい。
つまり中国人的な発想になるわけだが、若者がジジババや親戚から金を集めて事業をさせてもらうとか、逆に今まで事業をしてきた側が親戚の若者に新規事業をまかせるというような、血族の間のファンディングが日本では衰退してしまったということだろう。
若者がジジババにやろうとしている事業内容を理解してもらって金を出してもらうのは難しいだろうが、一般的には若者の人物を見込んでもらって賭けてもらうということで、失敗のリスクはともに背負うような関係になるだろう。日本でそのような人間関係ができにくくなったのは、若者の人物をみるよりも偏差値をみるように人の評価尺度が変わったからではないか。
記事『クールジャパンは寛容さが必要』では日本に来るアジアの留学生のことを書いたが、彼らの多くは自分の属する一族の金で日本に来ていて、一族の子息たちの中で優秀と認められて選別された人たちが日本語を勉強させられて来ているので、必ずしも本人の意思ではないものであった。しかしそれが契機となって一族の誰かが日本と関連したビジネスを始める。親類一同が集まると儲け話の情報交換をしていて、その中で子供も育っている。
高齢者にとっても、振り込め詐欺にもっていかれるよりも、国債の利率よりも、子孫が活発に動き回っているのを見る方がよいに決まっているのだから、日本のベンチャーを支える土壌というのをもう一度考えてみる必要があるのではないだろうか。
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