投稿日: Nov 05, 2015 1:17:12 AM
今日ではどんな分野の営業でも提案をするようにはなってきているのだが、既存のモノを仕入れて売買するのに比べて、無から有を生じさせる「制作」「ものつくり」の場合はかなり様相が異なる。つまり後者においては「何を作るのか」という設計の部分が重要だからだ。「家が欲しい」という場合に、買い手があらかじめ詳細な設計図を作ることは無いだろう。買い手は仕上がりのイメージを描いているに過ぎないとか、それでも部分的には詳細に拘っているところがあるとか、設計情報としては大変に歪なところからスタートしなければならない。
買い手の考えが及ばないところに関しては、提供側が仕上がりイメージを提供する必要があるので、提案は必須になるのだが、そこに時間や手間をあまりかけるわけにもいかない。イメージ作りに関してはあまりお金を払ってもらえることはないからである。そこではサンプルとしてモデルなりテンプレートなりダミーなり半完成品なりを沢山用意しておくと、買い手はイメージが作りやすくなる。
パソコンが実用化するより以前では、やはりIBMがもっとも参考になる事例を多く紹介してくれたような記憶がある。しかしパソコンの能力が上がってからは、安いパッケージソフトをベースにした半完成品のシステムが中心になっていった。
今のWeb制作も白紙から制作するよりもWordPressなどのCMSエンジンを核に作ることが普通になった。こういうプラットフォームの提供は、まだスマホ・モバイルの世界では不十分で、Webから出発したCMSもモバイル対応としてテンプレートをどんどん増加はさせているが、それ以外の機能についてはまだ模索中なのではないかと思う。
またCMSをダウンロードしてインストールするというやり方ではなく、クラウドの制作から配信までサービスとなろうとしている。ただしWebと違うのは利用者管理であって、モバイルは利用者が特定できるという点ではWebと異なるルールが必要になって、そこら辺の議論が固まらないとプラットフォームも作り難かろうと思う。
つまり年賀状やフォトブックが半完成品からスタートするセルフサービス化していったように、モバイルの情報発信も、販促・雑誌購読・DM/カタログ・教材など用途ごとの半完成メディアがプラットフォームが用意される方向に向かうだろうし、それらは利用者管理のところが異なるものになるだろう。マーケティング用とかeLearning用とかユーザーサポートとかに分化して、それぞれが別のシステムと連携するように考えられる。そういうところに焦点が移って、単なるテンプレートの羅列だけならはもう結構という状態になりつつある。
制作プラットフォーム、整理されたサンプル群、利用者管理の3点セットを目指すことになるだろう。
Top → Articles デジタルメディアビジネスの記事 過去記事→Archive