投稿日: Dec 07, 2012 2:25:23 AM
無党派層は増え続けると思う方へ
世界の国政選挙の様子をニュースで見ていると、いろんなパターンがある。韓国はアメリカの2大政党のような大集団を動員してのお祭り騒ぎ的なことを両陣営ともしている。しかしこれはタイのコスチュームで色分け対決の選挙とも似ているように思える。ちょっと前のアラブの春といわれた中東の大統領選挙はそんなお祭り騒ぎではなく、死人が出るほどの対立であったし、シリアでは遂に内戦にまで進んでしまった。ヨーロッパはもっと理性的な選挙が行われているはずだが、それでも国の政策がそんなにうまくいっているわけでは無いように思える。果たして選挙で国という大集団の抱える問題が解決するのだろうか。選挙の前提となるコミュニケーションの充実が必要ではないかと思う。
先日のアメリカの大統領選の場合は、オバマ陣営は若者やマイノリティの投票率が高まったために勝利したのだが、それは若者やマイノリティに対してソーシャルメディアも含めて大掛かりなメディア戦略をたてて、彼らにメッセージを伝えることができたからだ。記事『ビッグデータ礼賛が見落としていること』では統計的に戦術を絞り込んで迅速にアクションしたことで若者やマイノリティを投票所に集められたことを書いた。アメリカの選挙はメディア依存が高い。TVなどに巨額の宣伝費をつぎ込むだけでなく、今回の民主党のように新しいメディアの活用が上手であると有利になる。
では日本の国政選挙にはどのような特徴があるのだろうか? だいたいは決まり文句を繰り返すばかりでアメリカほど論争はないので、メディアも同じことばかり伝えている。つまりアメリカのように争点を決めて論争させながら支持率をモニターしていくというような「見える化」は難しそうだ。実際に当事者は世の中の反応を見ながら言い方をちょっとづつ変えて、一般人に抵抗のあるメッセージは和らげている。そういうことをしていると、選挙そのものが次第に「事なかれ」になって甘い言葉の羅列になっていく。
そんな選挙のあり方に対して、民主党は思い切ったマニフェストを掲げて大躍進をしたのだが、普天間移転も、事業仕分けも、いろんなことがうやむやになってしまった。選挙で勝っても「何か」に負けたのである。その何かについては地方自治や地域政党系の人は官僚主義であるようにいうが、そこをどうすればよいのかということまでは言わない。カリスマ的な政治家が大鉈を振るえばよいのか、直接民主主義がよいのか、政治の仕組みを変えるとはどういうことなのか、こういうことがもっと議論されなければ、どの立候補者がふさわしいかを決めることはできないだろう。
もしソーシャルメディアが何かに役立てられるのなら、まずは立候補者と支持者の間で濃いコミュニケーションに使うことで、そこがマスコミにとっても情報源になるほどのものになれば、影響力が出てくるだろう。しかし今のマスコミ上のコダマのような繰り返しに浸っている限り、日本の民主主義の欠陥やあるべき姿を、日本人が話し合おうという雰囲気にはならない。ということは根本的に何かを変えるよりも、従来どおりあちらに振れこちらに振れ戻すということなのだろう。