投稿日: Jun 24, 2013 12:43:27 AM
本は再発明されるのかと思う方へ
電子書籍にITの仕掛けを盛り込んでいって、あんなことができる、こんなことができる、ということで市場が広がることはなさそうな雰囲気である。電子書籍はあくまで紙の書籍のマーケットの延長上にあり、代替とか補完することで、紙の出版と合わせてマーケティングする方向だ。おそらく当分は本が再発明されるということにはならないのだろう。
一方で紙の本では出来なかったことは、別に電子書籍をとりあげるまでもなく、いろいろな形で既にサービス提供されるようになっていて、今更Wikipediaを百科事典と比較したり、CookPadを料理本と比較するようなことは行われない。すでに書籍の新刊販売として流通する情報量よりもネットで発信される情報の方が数的にも上回っていて、そこに対してもう一度電子書籍がそれらを侵食するほど伸びるとも思われない。つまり本とマルチメディアは別の道を歩み始めている。
しかしeLearningのようなものは、本もマルチメディアも両方を必要とするだろう。遠隔授業とかビデオ講義とかによって学習範囲が示されて、その内容の理解を深めるために本とかマルチメディアなどの素材があり、演習・レポート・テストをIT環境で行うとか、評価・フィードバックの仕組みができるようになるだろう。マルチメディア中で最も伸びるのは動画のショートコンテンツである。それにつれて動画の管理のためのソフトが必要になる。YouTubeにタグ検索の仕組みがあるように、個人でも組織でも動画のデータベース管理ができるアプリなりサービスが出てくることになるだろう。
もうひとつ必要なのはバラバラにある素材をリンクをする技術だろう。今はHTMLアンカーのように手作業でつけたり外したりしているものでは制約が多いので、例えば動画から外部にリンクするのもYouTubeのアノテーションのように簡便な方法や、対象先も自由なものが欲しいだろう。またリンクは相手先がなくなったり変更になることが多いので、代替とか代替検索とか、リンク管理を工夫しなければならない課題は多い。
こういったeLearningのようなサービスの仕組みや、素材の加工、素材の結合方法などに関して一皮向けた進展がおこったならば、紙の本であっても、その内容から位置に関する言葉、時代に関することば、トピックスに関することばなどをトリガに外部リンクすることも自動化できるので、本をベースにしたマルチメディアが容易に出来る時代になるだろう。昔のマルチメディアは1社で全素材を用意して特殊なオーサリングをしていて継続が困難になった、電子雑誌もオープンなデジタル素材が次々変化するのに追従するのは大変で似たような困難さがある。今のところはこういう変化に追従できていてるのはWebしかないのである。