投稿日: Aug 17, 2012 12:59:4 AM
Juke Joint というもの
1980年代から仕事でアメリカ旅行中の楽しみは音楽が溢れていることだった。ホテルの部屋に居て、どこからともなくご機嫌なgrooveがうねっている。窓を開けると路上からのようだったので、通りを探すと2-3人で楽器を出して何やらやっている。立ち止まって聞いてギターケースなどに1ドル札を入れて立ち去る。この種の音楽を黒人がする場合には、記事『ギターを持った黒人(3)』に書いたChitlin(chittlin) Music が多く、日本人が曲名を思い浮かべることができないのだが、レコードなどと比べても路上とはいえプロ級の音を出していることがよくある。よく観察しているといろんなミュージシャンがやってきて、ちょっと参加して、また行ってしまうような感じだった。彼らの会話から週末は何らかのクラブにでているようで、CityGuideなどでそれらしい店を調べて出かけていった。
下の写真は私がいったところではないが、雰囲気を現すものとして引用した。一番最初は行くのに勇気がいったことを思い出す。クラブは主に町外れの国道沿いのようなところにあって、まず出かけるのが困難であるし、同様にホテルまで戻るのも困難だった。音楽は夜8-9時ごろ始まって12時くらいに休憩に入り、その後再開して一般的には3-4時ころまでやっているようである。仕事で旅行中の私としては12時頃までしかつきあえない。その頃に外に出てもタクシーがあるわけもなく、バスや地下鉄に乗るために結構夜道を長く歩かなければならないこともあった。
これらの写真(クリックで拡大)は最近のもので、現在でもやっているところはあると思う。左上はDouble Bayou Dance Hall というトタン屋根の小屋である。この種のサービスはミュージシャンが自分でやっているものが多く、この場合も1980年代まではレコードを出していた人の店で、自分もそこでplayし続けている。上段真ん中はミシシッピ州に残る最後のJukeJointの一つで記念碑的なパネルが店の前に立てられている。こういった音楽をする店はおそらく20世紀はじめからあり、下の写真は1960年代の南部のもので、Colored Only の時代のものである。都会のダウンタウンにも粗末なクラブはあるが、これらの写真にあるところがロックの元祖になるものを産み出したのである。
つまり都会はJazzも他のジャンルの音楽もいろんなものがあるが、 Colored Only のJukeJointこそが、いわゆるロックバンドのカタチを作り出したといえる。ロカビリー・ロックンロールの創世記を築いた白人の若者は、AMラジオで黒人音楽を知り、深夜にこういった店に近寄って漏れてくるgrooveに魅了されたというような伝説の話が、冒頭のホテルから路上の音楽まで辿った時に思い起こされた。
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