投稿日: Aug 06, 2013 1:3:5 AM
メディアの連携は広告以外はない
麻生さんの「ナチスの手口」ブラックジョーク問題は、ウケ狙いで軽く発言したもののようで、麻生さんがワイマール憲法でもナチの支配でもよく知っていたわけではないだろうから、あまり突っついてもこれ以上は何も出てこないと思える。報道関係も最初はとりあわなかったものだが、それはこの発言部分が主題から外れていたことと、そもそも何をしゃべっているのかわからない講演だったからだろう。
おそらく麻生さんの気持ちとしては、改憲問題に対してマスコミが騒ぐと長引き、非常にやりにくくなるので、マスコミの目の届かないところで進めるようにしたいな、ということだっただろう。
つまり自民党の改憲派からみると、大きなヤマはマスコミ対策なのだろう。ネットの利用者からするとマスゴミといわれて疎まれているとはいえ、権力者からするとネット上のゴミのような書き込みよりは、マスコミの方が気になるのだろう。この3年ほどの間に反原発に関するネット上の書き込みやSNSでの反原発の発言・フォロー数は予想以上のものとなり、山口知事選では反原発候補が僅差で敗れたが、参議院選挙では山本太郎が当選をするほど、成長したとはいえるが、それでも国政に影響を与えるほどの政治家を送り込むほどにはネットはなっていない。
今回の選挙でネット解禁になって行われたのは、従来のマスコミでの広報と似たものをネットでも流すのが多かったと思う。SNSについても取り組まれたとは報道されているが、私の知る限りでは一部のネット上の支持のある候補以外は特別に効果のあることはなかったように思う。要するに既存政党、特に権力者からすると有権者一人ひとりとコミュニケションをすることよりも、広告代理店のようなところに丸投げでできるメディア対策の域を出ていなくて、広告代理店のレベルでミックスメディア化クロスメディア化をしているのではないかと思う。
ネット上に如何に重要な情報が隠れていてもそれは選挙の票には結びつきにくい。それよりもマスゴミではあっても、リテラシーの高い人が政策に疑問をもってしまうと、いろいろ探られることになって、それが公になることを麻生さんは嫌がっているのだろう。マスコミというリーチの広いメディアに情報が載ることは、発言が「公」になることである。今回もウケ狙いの発言が「公」になって、いろいろ勘ぐられるようになって、麻生さんの心配が的中してしまった。
つまりマスメディアは情報を「公」にするが、日本のネットでは今はまだ情報が「公」にならないのである。これはネットメディアからマスメディアへのパイプが出来ていないためであろう。マスメディアにおいて、テレビで「公」にされる情報は時間的制約から限られてしまい、詳細は得られない。だからといって系列の新聞社がその部分の補完をするような連携もみられない。広告キャンペーンを除いては各メディアはバラバラに機能していて、つながってはいない。だから政党は広告代理店に統合的な扱いを依頼するのだろう。
しかし、もしネットのメディアからマスメディアへ情報が連携できるパイプができたならば、ネットメディアの立ち位置とか役割は変わるだろうし、広告代理店の制御できないメディアの時代になるだろう。