投稿日: Jul 23, 2015 12:17:14 AM
前職で経営環境が大幅に変化した時期に、働く人の何パーセントかが日常で出社できないようなことが起こって困ったことがあった。これは日本中で同じようなことが起きていて、社内だけでなく根の深い問題であったわけだが、各個人のケアをしつつ、日常の業務を遂行するのは大変であった。どのように対処すべきかいろいろと試行錯誤している間にも、休まずに勤務している人の負荷がどんどんと高まってしまう。
なかなか手が打てないのは、傷病とは異なって本人も何が起こっているのかよく説明できず、医師の診断もあいまいで、従来の就業規則や規定にあてはめずらかったからだ。規則規定の見直しも必要になったが、「こういうことが起こったら、こうする」というマニュアルで対応できない部分が多い。
また発生を抑えるような職場環境にしようと考えても、原因がつかみにくい。本人が、これから頑張りますと宣言しても頑張れないなど、因果関係とかではなく多分に本人自身の心理的な要素に支配されているように見えた。顧問になってもらっている医師のアドバイスも役にはたたなかった。
その人と一緒に働いている人にとっては幾分かは兆候がわかるようで、結局はケアの方法は観察しかないのかなと思った。当時はグループウェアでチャットのような形で日常の仕事の進捗などを書き込むようにしていたのだが、頑張れない兆候が出てくる時には、自分からの表現をすることもできなくなっていくので、書き込み内容でシグナルを得ることはできない。逆にいえば気楽にSNS的なことをしている間は大丈夫であるともいえる。
つまり何か問題を抱え込み始めて閉じこもりの心境になると、コミュニケーションに何らかの障害がでていて、メールやSNS的なコミュニケーションツールで連絡を取ろうとしても意味がないのである。そうするとココがシグナルなわけだから、普段の何気ないコミュニケションをなるべく多く可視化しておくと、コミュニケーションがだんだん断絶されていく様子を知ることができるかもしれない。
すでにメンタルヘルスについては労働安全衛生法でストレスチェックの義務化がされるようになったが、厚労省の簡易調査票をそのまま社内のアンケートにしている会社もあるようである。これによって高ストレス者をあぶり出し、面接指導とか就業上の措置をとるというのは、ものすごくラフで、予防にも対策にもならないのではないかという気がする。
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