投稿日: Jun 04, 2013 12:59:14 AM
勘と経験は今後も活かせるのかと思う方へ
1000というのは人間の記憶力からしてマジックナンバーのように思う。iPodのようなものにどのくらいの楽曲が詰め込まれ使われているかという調査では、だいたい1000曲弱という結果があったが、何年かかけて覚えられるとか判別できる曲数は一般にはそんなものだろう。おそらくCDも数百枚も買うとアタマ飽和してしまって滅多に買わなくなるだろう。結局一個人から売り上げられる金額は累計でも10~100万円くらいなのだろう。
1000というのは素人が把握できる限界のようなもので、1000人くらいとか、1000社、1000冊、1000個、1000語などが暗記範囲になる。これはもし脳のニューロンが2分木なら10ステップ程度なら即取り出すことができるという感じだろうか。それ以上になると脳は頑張らないと思い出すことができないかのようである。
ところがマニアとか専門家になると一桁以上多い情報を即座に取り出すことができる。つまり万から何十万を扱うことができるようになる。それには何らかの訓練とか秘訣というものがある。一般には本人の趣味嗜好ゆえに発達するものである。音楽もコレクターなら万の単位のレコードやCDを持つし、博物学的な知識においても同様である。支出も相応に多くなり、コレクターなら家一軒分くらいを買い込む。しかしそんな人はファンの中の1万人に一人くらいしかいないだろうから、コレクター向けビジネスは難しく、コレクター間のやりとりというコミュニティ型のスモールビジネスになる。
シニア向けオーディオのような分野は本当のマニアでもコレクターでもない人が釣られて買い物をしてしまうことで成立しているように思え、そこから何か将来につながるものが産まれるとは考えられないという点ではバブルぽい。一見理屈を振り回して薀蓄を語っているようでもニセ科学に近いものを感じる。一方で高級オーディオにはプロの世界があり、それはマニアやコレクターとは違って科学的なアプローチをする。これは情報の世界も同じで、単なるマニアやコレクターとは一線を画す情報処理の世界に入っていけるかどうかが、マーケティングでもマーチャンダイジングでも問われるようになってきた。
つまり過去は勘と経験で1000ほどの代表的なサンプルを覚えていればビジネスのリーダーシップがとれたようなところが、今の時代のプロは何十万何百万というリアルなデータを駆使して勘や経験の裏づけをとったり、新しい気づきを得たりするようになるのだと思う。Amazonの強みはWebの閲覧とか売買のトランザクションの発生の都度に統計がとれることで、規模の大きなマーケティングでこれに対抗するのはなかなか困難だろう。楽天が大阪屋を抱きこんでも、誰がビッグデータ処理をするのだろうか?
一方で1万人に一人くらいの市場しかない専門分野ではビッグデータ処理よりもマニア的人材の方がプロとして活躍できるだろうし、それはECになっても同様で、世の中すべてがAmazon万能になることは有り得ないと思う。