投稿日: Jan 05, 2016 12:41:5 AM
新年早々町医者に紹介されて大学病院へ行く用があった。そこで気付いたことがいくつかあったのだが、世は高齢化という要因もあって、成熟化してきた日本というのを考えさせられた。まず大学病院へはかなりの乗り継ぎが必要で面倒だろうなと思っていたのだが、なんと自宅前からコミュニティバスという20人も乗れないようなバスが運行していた。ピックアップポイントがあちこちにあって、遠回りするからちょっと時間はかかるが、気楽に行ける。しかも東京の区内にあって昼間は1時間1本である。通勤通学とは無縁のような交通網があちこちにできているのだ。
ここ数年で出来た大病院は、診察券で受付をするマシンがあって、最後は会計のマシンへと、リアルにログイン・ログアウトをするようになっていて、その間にどこで検査、どこで診察というのがトレースされているし、検査データもカルテもサーバーに入っていて、紙は来院番号だけであったり、チェックシートのようなものが1枚だけというのが多い。最後の会計マシンで診療明細・処方箋・予約票が普通紙にプリントされる。
記事『ペーパーレスに向けて』の場合と同じだが、帳票類のプレプリントは皆無になっている。また院内はポスターは掲示されず、デジタルサイネージになってしまった。ただそこからはみ出たA4くらいの小さな掲示が手で貼り付けられていることはある。
おそらく先生方の業務は不自由のないレベルなのだろうが、まだいろいろ課題はありそうだ。まず町医者から大学病院への紹介状は昔のママで封筒を持参する。申し込みも電話で予約を取る。つまり町医者と大学病院はつながっておらず、すぐに予約はとれないので手間暇がかかる。
また院内でのログイン・ログアウトの間の連携は、病院従事者同志に限られていて、これから先の予定や待ち順番の情報が来院者のスマホなどの端末に出せるようにはなっていない。これら、院の外との連携が次のテーマかも知れない。
またカルテは法律上の規制か知らないが本人には開示されない。しかし検査結果の一部や医者の見立て、次回予約などに関しては、スマホにリマインダーが送られてもいいのではないかと思う。生活習慣病とか食事制限なども日常で注意を促すアプリがあっていいだろう。また通院者のIDがスマホに関連付けられて、食堂のメニューにスマホをかざすと、好ましい食事とか好ましくない食事の注意が出る、なども高齢化社会に向いているかもしれない。などなど病院で待たされている間にいろいろ考えてしまった。
最後に、これは大変な問題になるのではないかと思ったのは、町医者と大学病院の情報格差である。町医者が処方する薬よりも大学病院が検討している薬の種類が一桁多いのではないかという気がした。将棋の名人戦でコンピュータが活躍している時代だから、薬を処方する手助けを人工知能で行った方がよいのではないか? そうなると薬剤師は要るのか? というような疑問もわいてくる。テレビ番組に出てくる研修医にAIも参加させるとどうなるのか、と考えるのも面白い。
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