投稿日: Mar 31, 2014 1:30:38 AM
海は日本の味方か
日本の最南端である沖ノ鳥島という岩礁に桟橋を作りに行っていた工事の人が事故で亡くなったというニュースがあった。日本が沖ノ鳥島を確保しておかなければならない理由は海洋開発であるといわれている。日本は海洋国で、海洋資源が豊富だともいわれ、海底のレアメタルとか、ガス田とか、メタンハイドレートのことが時々話題になる。現在は多くの資源を輸入に頼っている点からして、日本近海に資源があるというのは国民に安心感をもたらす。
しかし実際には何も開発されていない。陸上の天然資源の場合は鉱山採掘でも長い歴史があって、やってよいことと悪いことも公害等を経験しながら学んできたし、外国からも新技術が多く入ってきた。しかし海洋に関してはあまり先例がなく、開発方法を自分たちで発明しなければならないからである。
アメリカで大量に採掘されて値段が下がったシェールガスは1970年代のオイルショックの際にも利用されていたものであるが、そのころから地下の複雑な地層の中から低コストに取り出す技術が開発されて、おそらく30年がかりくらいで石油よりも安い生産ができるようになったように思える。
つまり採掘技術の成熟には年月がかかるということである。日本の海洋資源開発が実を結ぶとしてもそれは何十年か先のことで、それまで着実に研究開発や産業化の試みが持続するのだろうかどうかというところは、まことに心もとない。それは過去30年を振り返っても、オイルショック以降は大した取り組みはしてこなかったからである。それは海外からエネルギーを買う金があったからだろうが、その間に資源確保のインフラ作りは十分にしてこなかったのではないかと危惧する。
それは今回の事故が海上工作の稚拙さを表しているように思うからだ。沖ノ鳥島に桟橋を作るのにふさわしい工法を考えたのだろうが、それにどのくらいの期間と費用をかけたのだろうか? つまりこういったことはあっという間にできるようになっていなければおかしいからだ。軍隊ならばどこかに上陸作戦をするのに、悠長に工法を考えている余裕はなく、そっと材料をターゲットの周囲に配置して、ある時一気に組み立てて上陸するようなことになるだろう。
おそらく災害救助でも自衛隊でも海上作戦をするのに必要なものは日本にないのではないかと思わされた事故である。東関東大震災の時に、日本に病院船が少ないことが明らかになったが、海洋国として力を発揮できるようにという準備は考えられてこなかったように思えるからだ。
国の守りを議論するならば、アメリカから兵器を購入することよりも、日本近海という特性にあわせて、日本が最も機動的に動けるようにするべきことになるのではないか。それは兵器だけでなく、資材運搬やエネルギー補給や病院船などの総合力であるはずだ。海があるから日本は強い、といえるような国造りプランが必要だろう。