投稿日: Jun 20, 2010 11:25:15 PM
ITでビジネスや生活が本当に変わるのかと思う方へ
5月25日にWeb制作者が岡崎図書館へ多くのアクセスをしてシステムの運用を妨害したような容疑で逮捕された。翌日の各新聞朝刊にはこの記事が掲載された。この方は20日間の勾留と取り調べを経て、6月14日に不起訴処分(起訴猶予処分)となった。この件はネットでも取り上げられた。本人の弁では「コンピュータやネットを生業とする方々と、新聞記者を含む一般の方々との、知識のギャップにあるのではと予想しています。例えば、リクエスト33,000 回という定量的な値ひとつとってみても、正反対の印象を受けたのではないでしょうか。」とあるように、Webサーバが少々ダウンしたくらいで逮捕になるなんて業者側では考えても見なかったことだろう。
似た経験はWebを運営している方でも作る方でも結構あると思う。そのことがマスコミ報道側には知られていなかったということだろうが、別の見方をするとWebを作る・運営する双方も「ある」無神経さがあって、それはIT業界全般にいえる。製品やサービスの信頼性に対する配慮が低いのは、環境の影響を受けるから仕方が無いという諦めがあるのだろうが、ITがここまで一般化コモディティ化してしまうと、従来の業界の常識で説明がつかなくなってしまうことが今起こっている。それはパソコンメーカー、OS・アプリ、通信業者、ネット上のサービス、あらゆるものに及ぶ。
セキュリティソフトとウイルスは一見すると正反対のもののようだが、技術的には同じ基盤にあり、その技術を知っていることは両刃の剣になる。両者のいたちごっこは傍から見ているとグルではないかと思われるかもしれない。杉の植林と花粉症薬の関係とも似ていて、全体を考えて何をすべきかを煮詰めるところにまで至っていない。mailの便利さとspammailの除外なども、回線の混雑も、オープンソースの相性も、全部を含めてITを基盤にしたビジネスや生活をリデザインする運動が必要だろうし、そのような方向には必ずいくと思う。そこには電子教科書とかこれから取り組むべきテーマもリンクしてくるだろう。
つまり今後は社会の隅々に行き渡るようなIT利活用になろうとしているわけで、iPadのようなものも、今までITに熱中していた人に向けて開発しているのではなく、残りの多数の開拓のためにある。それでないと販売側は食っていけなくなるではないか。しかし目先の新製品の機能ばかり考えていたのでは、ビジネスや生活のリデザインにはならない。従来のIT系ニュースとは少し軸を近未来生活にシフトした情報交流の場が必要に思う。
それは夢物語を語るサロンではなく、近未来から見て今何をすべきか、を考える場が必要だ。冒頭のWebの話では、一般にサーバはオープンソースでいろいろなプログラムを組み合わせて使うようになってきているが、作る側が慣れていない組み合わせでは、普通にテストして動いたからといって、運営している間に起こるいろいろな条件でどうなるかわからない。そこで検収後もメンテ契約をするが、あまりがっちり契約するとオープンソースでもちっとも安くないものとなってしまう。つまりテストの内容・方法・料金などサービス化確立していないので、適切な方法がどちらにも分からない状態である。こういった問題も近未来の「あるべき姿」から考えるのが、本当は最も現実的なものになるはずだ。