投稿日: Nov 22, 2014 1:31:23 AM
黒人音楽としては早い段階から白人にも評価されたJazzが、1960年頃からPopsやRockに変わっていったことを、記事『定石を壊して伸びる』や、記事『音楽ジャンルの謎 1960年問題』、『JazzとR&Bの決別』で書いてみた。大雑把にいえば、ミュージシャンや音楽そのものの変化ではなく、音楽産業の分類上の変化に過ぎないわけだが、その原動力となったのは、アメリカ黒人の黒人によるレコードレーベルの台頭である。
下の図ではピンクでIndies Labels と書いているが、1950年代の45回転盤の時代になってそれらは急激に増えていく。それによってJumpBluesの隆盛があり、R&BやSoulの発展があるのだが、それまでJazzを扱っていた大手レーベルは、もっと広い視聴者層を狙ってPops化を進めたので、一見するとJazzは減っていった。
Jazzは詳しくないのであまり言えないのだが、その一方でモダンジャズのような反pops指向も生まれたのであろう。黒人大衆音楽としてはR&BやSoulはpops化のベクトルももつのだが、JumpBluesからUrbanBluesへの流れは反popsの原点回帰である。
黒人大衆音楽にIndiesが多く誕生したのは、原点回帰的なニーズに応えたという点がかなりある。それと同時に広く非黒人の世界にもこれらの音楽が拡散していくということも同時に起こっている。
日本でもFENなどを通じて1960年頃に黒人大衆音楽に触れた人は多くいて、それはJumpBluesやR&Bなのだが、すぐにtwistなどが日本のラジオにも流れるようになった。これは音楽構造はJumpBluesやUrbanBluesと同じで、演奏や歌をちょっとpops化したものといえる。スター的な要素を持った歌手を前面にたてるが楽団的には同じである。
その一方でIndiesではJukeJointで夜な夜な行われているスター的でない人の同様の音楽もたくさん録音されて、地元のJukeBoxなどでかかっていた。いわゆる、より「黒っぽい」音楽として、マニアにはうけるものがそこらあたりにはあり、ブリティッシュロック創世記のお手本としてカバー曲ともなった。
おそらく黒人大衆音楽において、モダンジャズ的な反popsの先鋒がFunkとなったのであろう。これらはそれまでは黒人にしかわからない様式や歌詞であったにも関わらず、世界的に広まってしまった点でもモダンジャズに似ているかなと思う。黒人向けIndiesも1960年代に入るとBlues離れをしていくのだが、Twistのような軽いロックからFunkまで、伝統を引き継いだものも出し続けていたのである。
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