投稿日: May 05, 2015 2:14:48 AM
記事『ロングテールはビジネスになるか』で、Web2.0のことに触れたが、私の印象ではティムオライリーの言っていたことの半分くらいはあたっていると思う。それはSNSやSaaSの定着をみれば明らかだ。しかし、その後のWeb3.0云々は冗談のようなもので、もう振り返ることもできないほど無駄話だったように思える。つまりWebの未来は2.0で途絶えたままで、その後はスマホに人々の関心が移ってしまった。
しかしスマホで発展したのは位置情報とかARのようなユビキタスのアプリくらいで、本質的にはなかなかWebを越えるものは見当たらない。典型的にはゲームのように、ポータブルな専用機からシフトしたものがスマホコンテンツの中心で、例えばスマホ2.0だの3.0だのといったような、スマホの近未来を語るところまでも行っていないのではないか。ティムオライリーもiPhoneより前の世代なのである。そういう意味ではWeb2.0は一旦リセットなのかもしれない。
ネットで利用されるアプリがパソコン系とスマホ・タブレット系に別れてしまったのも、近未来を語り難くしている一因かもしれない。いずれにしても政府がベンチャー育成というような掛け声をかけるようになったものの、未来の夢を描くようなことは減っているように思えてならない。経済ニュースとしての日本のベンチャーは相変わらず錬金術的なものが多く、地道に社会の問題を解決しようというようなところには焦点があたり難い。
NPOの活動はWeb2.0では活発になるかと思われたが、意外に「SNS+寄付」というパターンは起こらなかった。今では商用のクラウドソーシングがちょっと似た面をもっていてWeb2.0の延長上ともいえるが、それが新たな商流になるかどうかは微妙なものであると思う。
bitcoinもバブルのようなものであった。近未来ビジョンとしてのWeb2.0は、経済社会を変革するほどのものではなかった点ではリセットなのだが、でもユビキタスや、送り手受け手の双方向化、というのはさらに進んでいくことが確実で、マスメディア・マスマーケティングとは異なる経済もそのうち力をつけるようになるだろう。
そういうところに想像力が沸く人に今活躍してもらいたいと思う。
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