投稿日: Mar 07, 2016 1:11:24 AM
成長とか進歩とか威勢のいい話は経済の世界では好まれるが、その反面で環境問題など金では評価しにくいマイナス要素もどこかで増えてしまう。産業革命後の環境破壊・資源エネルギー問題・地球温暖化などなど、成長とか繁栄を謳歌した後の世代に付けをまわしてきたことが積み重なっている。しかし環境回復に金を使いすぎると成長や繁栄が台無しになるので、成長を感じつつも環境回復をしているというバランス感覚をどの政府も取らざるを得なくなっている。
それがサステナブル云々であるのだが、果たしてそういう好都合なバランス点が本当に可能かどうか、という議論が起こる。これは証明不可能かもしれない。現在は妙案は出てきていないので、自然主義者は反文明的な考え方になって、経済成長も認めない論調になることがある。また実際にそういう人が集まって自分たちのコロニー・コミュニティを作って暮らすことは昔からあり、電気を使わないアーミッシュなどが有名である。
私の父は淀川キリスト教病院のホスピスで末期癌の最後の期間を過ごした。この病院はメノナイト・ブレザレンというアメリカの教団が経営していた。メノナイトは宗教改革の活動の一部で、その派の人がアメリカに渡った中から、アーミッシュも生まれたし、分派して世俗で暮らす人たちの教団もできた。メノナイト・ブレザレンは現在の文明を否定はしないが、人の想いで社会を弄り回すよりも、神の摂理の中で暮らすことに重きを置いていて、末期癌の人に無理やり治療などせずに、苦しまないで自然死を迎えられるホスピスを作っている。
世界4大文明という古代文明があるが、そのうち中国以外は一旦衰退に向かった。おそらくそれは中国が偉いのではなく地理的な理由であると考えられる。メソポタミア文明・エジプト文明・インダス文明などは気候変動により衰退したところに、周辺民族から攻め込まれたのだろう。この文明の衰退は仏教・ユダヤ教など今日につながる宗教を産み出した。これらほど大きくなくても、地球上の衰退文明の理由は大抵が気候変動である。それは人間の精神世界を変える要因になるのだろう。
さて産業革命以来エネルギーを使い続けてきたわけだが、それがCO2を出すものとか核燃料とかにかかわらず、地球のどこかに溜まって、地球が樹木に覆われるより前の環境に似たものになりつつある。このことは今更変えようがないので、人々は地理的理由で衰退する地を捨てて寒冷であった地に移動せざるをなくなるだろう。今海洋生物が移動を始めているが、人もそうできなければ争いが発生して共倒れして、結局は住人は減ってバランスするのだろう。
個人の死もそうであるが、人がどうにも抗しがたい不条理のようなものに直面する時に、なんとかすがろうとするものに宗教があるし、人生で不条理を予見する際に自分の舵取りを変えるためにも宗教がある。今の抗しがたい地球温暖化からも、近未来に起こるであろう人の精神世界の変革を予測させられる。
Top → Articles デジタルメディアビジネスの記事 過去記事→Archive