投稿日: Feb 06, 2013 1:46:53 AM
ITビジネスの需給ギャップを感じる方へ
日本の電子政府が遅々として進まない一方で、社会ではECが日常フツーに行われ、子供がスマホを自在に使うというギャップがある。これは電子政府の方がデジタルデバイドを基準に設計している限り、社会の平均値の人向けのサービスにはいつまでも追いつけないことをあらわしている。だから社会的な効用としてはフツーの人向けのIT化されたサービスを進めることが意味があり、それと同時にデジタルデバイド向けのサービスの2種を提供すればよいことになる。しかし後者を引きずっていてはコストダウンにならないという理由で、前者の外部サービス向上もやらないのが現実である。
これは間違っていて、一般の企業でも同じようにIT化を喜んでくれる顧客と、IT化についてこられない顧客がいるわけだが、両方にメリットのある仕組みを考えるし、また社員でもIT化に対応できる人とできない人がいても、両立するように考えるのが業務の設計やシステム設計であって、それは可能であるから民間ではIT化なり改善が進むのである。つまり公共分野は業務分析や設計をサボっているとしかいいようがない。以前に書いたことだが、顧客にECをしてもらう以前に、POSレジのようなシステムで社員がネットで必要な業務をやりやすくすればよいわけで、そういう内部のIT化の蓄積の先に、外部へのサービスのオープン化がある。
だから電子政府も、まずは公共分野の内部の日常の仕事を徹底的にIT化で改善するという考えをなしに、外部の利用者にだけITを使わそうというのは、結局はテストがろくにされていない未熟なシステムを押し付けるような形になって、うまくいかない。いろんなコンサルタントの方が、日本の公共分野から相談を持ち込まれて、そこには問題意識のある熱心な職員がいたとても、その先に改善の動きは起こらないことを言っていたが、民間企業でも改善や進化のない企業は同様にある。一般には社員が仕事の負荷を嫌がって、新しいことをやらない言い訳を探すような発言をすることがあるが、会社の目標を作って戦術を練る立場の幹部や役員がそのようにやらない言い訳を言い出したら、その会社はオワリだろう。社会はそういう人や会社を求めていないのだから。
これを突破して、社内でも顧客でも、それぞれの中の進んでいる人も遅れている人も、能力に応じて使えるシステムと人の再配置を合わせて考え、そこに従来の取引業者に協力要求するとか、できないところは別の業者と取り替えるような、大きく考えた組み換えが必要になる。これは別の言葉を使うとバリューチェーンだろう。最初からバリューチェーンを考えましょう、といってもピンと来ない人はいるので、お互いの役割の再配分と、その役割をスムースにつなぎ合わせる情報や物流のシステムを考え、いわゆる「Win-Win」を目指すことになる。当然ながらこのバリューチェーンに入れない人や会社はあるのだが…
IT化ができるかできないかが問題ではなく、水が上から下へとスムースな流れになるようにすることは永遠の課題で、出来ないという答えはない。