投稿日: Feb 11, 2014 1:55:15 AM
ブームに期待すべき点
昔、日本で捕鯨が盛んだったころに隆盛を極めた会社に「極洋」があり、そこの缶詰がどこでも売られていたのを覚えている人もいるだろう。この会社のことを思い出させたのが先のオリンピックの馬術競技の日本代表だったのだが、なんとこの会社は日本食の素材を世界に輸出するようになって、右肩上がりで伸びている。日本国内でも缶詰のビジネスはやっているが高級贈答路線であるようだ。
日本の食糧自給率が4割だとかいわれている一方で輸出も盛んになっているということだ。しかし日本食の海洋資源の場合は元々遠洋漁業で世界各地の外海で獲ったものを日本に持ち込んでいたので、極洋がやっていることは輸出とは言いにくいかもしれない。大西洋で獲ってヨーロッパに売るとすると、ヨーロッパの漁業と軋轢を生むかもしれない。
しかし日本食素材として何らかの加工してあれば、鮮魚と区別して、ヨーロッパの外食産業と取引拡大できるだろう。それは日本食を教えるという要素があるからだ。牛の肉にも各部位の名称があって、それぞれに適した調理法や食べ方があるように、魚や他の海洋資源も食文化の理解とともに普及するであろうからだ。
いま欧米の有名ブランドの製品を買っても、製造しているのはアジアであるように、日本食もノウハウをブランド化してビジネスをするようになるのだろう。そのためには日本食、とりわけ各地方の特色を出した調理に関してのノウハウを、資格認定のような知識体系とか訓練制度にしていかなければならないだろうし、そこで身につけたものは世界に出て行ってアピールできるような人材教育も必要になるだろう。
海外から日本食を勉強したい人に留学の機会を与えるとともに、日本人の調理師さんも海外で指導しながら研修するということは盛んになり、若者に生きがいを与えることになろう。
日本食は一種のスローフードであって、エコでサステナブルで健康によいとされているが、実際の日本の漁業は乱獲で海洋資源を衰退させている面もあり、また伝統的な調理と日常の加工食品による食生活とのギャップもあり、日本の社会の側でも矛盾の解消という課題がいっぱい浮かび上がってくるだろう。
でもその解決に向けて日本が努力を積み重ねて成果を表していけば、日本食のステータスも上がっていくことになるだろう。