投稿日: Nov 23, 2012 2:17:54 AM
日本の閉塞感を抜け出したい方へ
3.11の東北大震災で被災者が避難しているところの話で、50人居るところにおにぎりが40個届いて、うまく配分できずにいて遂には賞味期限切れで廃棄したというのがあった。いかにもお役所仕事らしい話であるが、これはいろんなことを象徴している。お役所の事なかれ主義ということがいわれて、99人が賛成しても1人がクレームをつけるならやらない、ということもあるだろうが、だいたい日本の企業の会議の様子をみていると似たようなものが多い。反対にオウナー社長のトップダウンは民主的な経営ではないようにもいわれることがある。
アメリカでKFCに次ぐフライドチキンのチェーンになったChick-Fil-A(チックフィレイ)は、創業者がキリスト教徒であるために日曜日は安息日としてお休みにしたが、それでもこのチェーンは伸びていった。また子供向けのセットメニューもキリスト教的色彩のもので、それに使うキャラクター人形を提供していたThe Jim Henson Companyが同性婚を支持したために契約を打ち切った。この件は同性婚合法化の人の反発を起こしてソーシャルメディアでは炎上をしている。しかし創業者はそれで売り上げが下がろうが全然動じないだろうし、むしろ同性婚議論が盛んになることを喜んでいるだろう。
ハンバーガーのマクドナルドも創業者未亡人が救世軍の活動をしていて、創業者の超超莫大な財産は救世軍に寄付された。マクドナルドの経営もChick-Fil-Aほどではないにしても、ある社会的な使命感があった。結局ビジネスの成功であっても、何にも動じない信念のようなものがあれば、紆余曲折・波風を乗り越えて行けるという面がある。こういうビジョンや使命感とともに、マネジメントの能力が経営の両輪であって、ビジョンだけあってもマネジメント能力が生じるわけではないし、役所のようにマネジメント第一主義をしていてのビジョンが生まれるわけではない。
このビジョンもマネジメントも会社の規模の問題ではなく、起業の時点から備わっているものである。一人で通販を始めて大きな通販サイトになった例をみると、日々の細かいマネジメントは最初からできているし、またそれにビジョンが加わらないと、大方の楽天のお店のようにどこかで売り上げの踊り場が来てしまって、月商云百万の域を超えることができない。マネジメントは組織に植えつけることはできても、ビジョンを個人から離して組織として皆が共有することは難しい。悪い意味ではなくビジョンは経営者のカリスマ性とともにある、というのが難しいところであろう。