投稿日: Nov 01, 2013 1:43:1 AM
今のオンライン販売は限界が来る
パソコンの普及と共に、一時はパッケージソフトが大量に作られて、まるで本のように流通した時期があった。実際にアメリカの本のチェーン店ではパッケージソフトのコーナーも作られた。日本ではこういったソフト流通のためにソフトバンクという会社が設立された。
しかしいろいろな理由でパッケージソフトは町から姿を消したように見える。ちょっとしたアプリはOSにバンドルされたり、パソコン販売時にバンドルされたり、ダウンロードするフリーウェア・シェアウェアになって、会社が行うものではなくなってしまったようだ。今はOSですらダウンロードだからパッケージが流通することはもうないのだろう。
CD・DVDのようなパッケージのコンテンツも通信の大容量化とともに減っていくのは確実だが、ソフトウェアとは異なる点もあるので、全く同様には考えられない。プログラム自体はコンピュータに実行させるためにあり、利用者向けにはオンラインヘルプとかHTMLでマニュアルやリファレンスが提供されている。この人の目に触れる部分は執筆・編集・制作の手間がかかるので、フリーウェア・シェアウェアでは大幅に省略されているから成り立っているともいえる。
またパッケージソフトはユーザー登録やユーザーサポートのコストもかかる。今はアプリをダウンロードして使うのがフツーになっているが、これは説明不要なほどソフトウェアを簡素化して、ユーザの面倒はみないとか使い捨て、あるいはワンタイム利用のように考えた結果だろうと思う。
しかし複雑なものになると、どうしても多くのドキュメントが必要で、多くの人が関与してコラボによって成り立っていて、その情報交換も、ユーザサポートもバグフィックスも重要になるので、そういったプログラムのフリー化はオープンソースのようにネット上のコミュニティを背景に提供・利用されるようになってきた。
こういった流れの上にAndroidはある。Microsoftも公的な利用をしてもらうために、ある程度のオープン化はしている。これらと一線を画して、今でもクローズドな独自のサービスをしているのがAppleといえるだろう。(今しばらくはこれがAppleの競争力の源泉であるだろうが…) しかし時代はオープンソースのようなネット利用があらゆるビジネスに影響を与えるようになってきた。
プログラムではない出版物やCD・DVDのパッケージコンテンツは、まだオープンソースのようなネット上のコミュニティを背景に企画や制作をされるようにはなっていない。つまりアナログの時代と同じ業界・業態で作られていて、完成した商品だけをオンライン販売し始めている段階である。しかしきっと企画・制作がオンラインのコミュニティをベースに行われるようになった時に、デジタルコンテンツのビジネスは変わっていくはずである。その第一はコストであって、おそらく今のパッケージ系コンテンツの売値の半値とか何分の一の時代が来るだろう。それでは今の会社が持たないので、既存の業者はオープンソースのような方法でコンテンツ作りをすることを拒否するだろう。
従って、コミケとかの壁サークルあたりが既存の流通をバイパスして新たなデジタルコンテンツ供給をするようになる可能性は高いと思う。