投稿日: Dec 26, 2014 12:48:5 AM
2014年は某著名デザイナーが関与したコンビニのコーヒーマシンがメタクソ使い勝手が悪くて話題になった。コンビニの店ごとに取扱い法を紙に書いて貼っていた。ネット上ではデザインの範囲に使い勝手が含まれるはずだというコメントが多くよせられた。まあこのデザイナが実際に自分でコーヒーマシンを使ってみたとは思えない点で、無責任な仕事をしたのだろうなという印象だった。
しかし実際には某有名デザイナの仕事ぶりよりも、そのデザイナに発注した側の問題がある。発注の際に必要な項目をちゃんと挙げていなかっただろうし、できあがったものを十分テストしなかったと思えるからだ。なぜこういうことが起こったのかと考えると、先行したセブンイレブンの場合には、もともと業務用コーヒーマシンのメーカーに小型のものを発注したのではないかと思う。つまりメーカーからすると、この種のマシンは使い方の教育を受けた人が使う前提で作られていたので、そのベースのままで小型化したのではないか。
ところがセブンイレブンの店側はその操作を顧客にやらせてしまった。一方ローソンはマシンの操作の問題に気付いたのか店員が行うようにしているので、写真左のように何も貼紙をしないで使っている。マシンの内側の構造も操作方法も大差ないはずだ。
とすると製品の機能とコーヒーサービスの間の問題である。セブンイレブンのミスマッチは、B2Bの機械をB2Cの局面にもってきてしまったことであるし、ローソンはB2Bの機械だから店員が扱って素人には触らせなかったということになる。
コーヒーをB2Cのサービスとしてみれば、昔から自動販売機というのがあって、そこでもカップで提供されていたが、この場合は操作には何の問題もない代わりに、コヒーそのものが本格的ではないというものだった。缶コーヒーでも同じである。どこかの店頭でコーヒーマシンの操作パネルをまるで自動販売機のようなスタイルにしたものを見たことがあったが、確かに分かりやすいが、逆に本格コーヒーの雰囲気は無くなってしまっていた。
つまり使い勝手が悪そうな利用者を突き放したようなデザインが本格指向に思えるという、自動販売機文化の裏返しのようなことがあったのであろう。これはB2BとB2Cの錯綜というか誤解というか、大きなずれを抱えたままの状態である。ビジネス戦略と、商品イメージと、サービス実態、こういったところに一貫性をもてなかった、コンセプトの練り込み不足のままサービスが先行した例である。
こういったことはリアルワールドのビジネスをネット上で展開する場合にもしばしばあることだ。
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