投稿日: Apr 18, 2015 12:37:49 AM
ここ何年かで東京にはコスプレ撮影のためのスタジオがいろいろ出てきて、アマチュアが利用しているという番組をNHKがしていた。今はコスプレ専用スタジオもあちらこちらにあって、番組では1時間3000円くらいという説明しかなかったようだが、利用規約では「個人の趣味の範囲」で使う「非商用」の料金らしく、コミケなどで有償で頒布するコスプレ写真集等の写真撮影ができるかどうかはグレイなようだ。
番組では名刺代わりにコスプレ写真を交換するような用途とか、自分がコスプレした姿をアマチュアのカメラマンに撮ってもらうような用途を紹介していた。このカメラマンもその筋の人で無料で撮影している。つまりコスプレ撮影ごっこの場所貸しとしてのスタジオのようである。
専業者であるBooty(ブーティ)のサイトを見ると、スタジオにはあらかじめ、ゴシック、廃墟、ロリータ、ホワイト、ポップ、サイバーなどのテーマのコーナーがしつらえてある。電車セットというのもある。
また扇風機、シャボン玉マシン、スモークマシンなどがあって安価あるいはタダで利用可能である。一般にコスプレスタジオは小道具の貸し出しモノが豊富で、事前に用意して持ち込む量が抑えられる。このほか水使用ができる防水エリアとか、屋上が庭園などのものもある。
コスプレをする人のテーマはサブカルやマニアっぽいアニメや漫画のワンシーンのようなカンジで、いわゆるユルキャラやディズニーなど「お子様」向けキャラクターではないので、門外漢にはシチュエーションが理解できず、メイクのどこがミソなのか、どんな局面でなにをしているのかサッパリわからない。
しかしコミケの2次制作と似たような感じで、オリジナル作品から触発されて、自分なりにイメージを膨らました結果がコスプレなのだろうなと思う。
昔から仮装というのはどこでもあって、ハリウッド近辺でも素人が集まってしているのを見たことがあるが、そういうイベント的な仮装と、密室で小道具を使ってワンシーンを作り込むコスプレ写真撮影とは別のものだろう。日本のこういったコスプレの指向は、コミケと同じく、同じ嗜好をもった人たち同士が作品テーマを共有しあうための表現であって、やはりクリエイティブに参加するという面が強い。つまり紙媒体のコミケ同人誌よりももっと強烈なビジュアル指向がそこにある。
つまり商業漫画のようなストーリーを追う作品とは別の世界ができつつある。こういう指向はCGアニメにも通じるものがあるが、むしろ彼らはそういった完成した商業作品を作ることよりは、今は静止画における充実を求めているように思える。これがどこかで商業的なものとの接点をもつのだろうか? すぐにはそうはならない気がする。
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