投稿日: Oct 13, 2014 1:32:35 AM
グルーポンというサービスが話題になったことを覚えているだろうか。急速に拡大したものの、いろいろと問題を起こして業績が低迷し、今も続いているはずだが、あまり話題にはあがらない。本来は人目を引くような共同購入のプラットフォームのはずだったのが、特に日本では単なる割引クーポンにだけになってしまって、存在価値を無くしてしまったのではないか。元のプラットフォームの機能としては世間が注目するようなキャンペーンを誰でもができるようにしたことだったと思う。しかしそんなキャンペーン企画をできる人がそんなには居ないのが実態で、大勢は、人目=割引、になってしまったのだろう。
これは商業広告というものの本質を現わしていると思う。商品の良さを広告という非常に限られたコミュニケーションの中で表現するのは難しく、反復して時間をかけて認知してもらわなければならない。それは選挙の連呼のような同じことの繰り返しよりはましな方法としては、AIDMAのような段階を踏んだコミュニケーションを広告に当てはめるというのが関の山だ。これがネットになってどう変わるとかいう話もいろいろあったが、それも何処へ行ったのであろうか? ともかくコミュニケーション問題として広告を考えるという姿勢は曖昧になってしまったといえる。
その後にアドテックという言葉が多くなった。これはバナーなどの広告スペース売りから脱して、ネットの情報流通と追跡して広告の評価をしようというものだと思う。SNSなどにからんだいろいろな情報プラットフォームが登場して、マス広告とは異なって露出機会が細分化されたからである。マス広告なら発行部数が幾らに対してレスポンスが幾らあったという計数は容易だが、SNSなどパーソナライズされたメディアでは分母にあたる発行部数が一定しないからである。
それで利用者のビヘイビアに関するいろんな統計処理が必要になる。特に今日ではビッグデータとか言って統計の魔法をちらつかせてクライアントを誘うことも画策され、ある意味ではアドテックは盛り上がるかもしれない状況である。
しかしSNSとか投稿系のサービスにはいろいろなシステム変更がつきものである。これはセキュリティの問題もあるし、システム間の連携が拡大するとか、ライバルと差別化するとか、サービスを向上するとかも、なにしろアルゴリズム開発しか課題に取り組む方法がないので、毎月コードの書き換えや追加が行われている。AmazonやeBayはそういった集積で事業を伸ばしてきたのである。だから伸びるサービスは頻繁にシステム変更があることになり、それに紐づけられているアドテックなるものも常時システム的な対応をしていかなければならなくなる。これを広告の会社がやりきれるのだろうか??
またシステムが変わりサービスが変わると、過去に取得したデータはどうなるのだろうか?時系列に比較して役立てられることは少ないかもしれない。データが蓄積されず活かせないようではビッグデータ処理云々もそれほど期待できないかもしれない。要するにアドテックという広告分野の活動はAmazonやeBayなどのように自前のデータセンターで自前のエンジニアがシステム構築している世界には追い付かないのではないかと思う。
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