投稿日: Nov 01, 2012 1:1:50 AM
ITで企業を支えることはできるのかと思う方へ
今日は情報過多ともいわれ、何か調べものをするにしても、ザクッとしたマクロデータはネットで簡単に見つかり、企画とか事業計画の作文はやりやすくなっているだろう。そんな単純なマクロデータも踏まえずに行き当たりばったりな企画をする方が多いだろうから、何らかの説得性のある資料に基づいた作文をすることは薦められるし、勉強としては悪いことではない。しかしそれで事足れりとして検証不足のまま事業に踏み出せば壁にぶつかることは多いし、例え事業の格好がついたところで利益があるかどうかはわからない。今日いろんなプレゼンや提案がされているのを見ると、実際にビジネスが成り立つかどうかの検証が不足しているように思われる。
しかし検証は可能かどうかという大きな問題がある。というのは本当のビジネスの肝のところは表には情報として出ないことが多いからである。よくTVでもビジネスのサクセスストーリーの番組があったりするが、やはり肝は出ていないなと思うことが多い。私は自分の勉強のためということもあって当事者に直に取材をするということになるべく関わろうとしていた。主に雑誌の取材ということで出かけてみると、その肝の部分は当事者も自覚していない場合もある。また先代からその会社に根付いている社風であることもある。これらはIT以前からの企業の資質であったりするが、それがIT時代に合ったように適用されていると強い場合がある。
例えば何でも自分で修理をする習慣のあるところでは、事故や故障のデータが豊富で、それがトラブルを予測する能力になり、予防保全とともにプロセスの改善や設備投資の適正化につながって、固定費が同業者の半分以下ということもある。これは生産機械だけでなくPC環境やサーバ、ネットワーク機器にも当てはまる。
ある時データセンターの利用の話をしていたら、アメリカの例だがECサイトとクレジットカード会社のつながりについて、こういう異なる会社での情報のやりとりはインターネット上にはデータを出さず、ECサイトのあるデータセンターにカード会社がサーバのラックごと持ち込んで、データセンター内部でECサイトとワイヤで結んでしまう例があった。つまり異なる会社のイントラ同士をつなぐの役割をデータセンタがしていて、全米でトラフィックの分散をしているので、各地のデータセンタでそのように結んでいるとのことだった。
バブルの頃に企業が多角化で新規分野進出を試み、見よう見真似のビジネスをして失敗し次々撤退して元の木阿弥になってしまった。今のネットのビジネスもそれに似たところがある。ITに関してはクライアントはスマホでもタブレットでも軽くなっていく分だけ、データセンタ側の負担が大きくなっていく。そこで稼ごうというのがアメリカで、今の競争状態では利益はでていないかもしれないが、データセンタを最適化して他の国にまねのできないパフォーマンスを上げようといろんな努力がされている。そこでどのような競争力が培われているのかの実態はなかなか見えてこない。
日本などがスマホやタブレットのアプリを開発しても、運営費をアメリカに払っているのでは、やはりITで勝てないのではないかと思う。アプリには寿命があって入れ替わるものだから、少なくともPCの例をみれば企業を支えるものとはならなかった。トータルで開発コストがペイするかどうかがわからないのはスマホになっても同じである。