投稿日: Apr 10, 2013 12:45:17 AM
模倣の先に何があるかと思う方へ
YouTubeを見ていたら日本製のエレキギターSuzukiレスポールを弾いている映像があって、リンクを辿るとジャパンヴィンテージギターの話題があった。このSuzukiレスポールは私がリサイクルショップで中古で買ったものと同じようで、今ではそれなりの値段がついているようなことが書かれていた。気に入っていたギターだったがフレットの交換が必要になって、買った値段を考えたら手入れするよりも買いなおした方が良いかと思ってほったらかしにしていた。最初は廉価ギターとして売り出されたのであろうが、かなりの年数は経っているもののしっかりしたギターで、どこのSuzukiかと疑問に思っていたものである。
ジャパンヴィンテージギターというのは大抵がフェンダーやギブソンの模倣品を長野県の木工所が作っていたようなもので、この一部が海外でも評価を得られるようになったという。通販、月賦、アンプとセットなど、国内の中高生向けの商品であったと思うが、単なるそっくりさんではなく日本人に合うように工夫されているものもあった。例えばSuzukiレスポールはネックが薄く弾き易かったのである。
その後これらの木工所は輸出もしていた関係でフェンダージャパンやオービル/ギブソン、エピフォンなどなど製品ラインの下のほうを日本生産するようになるのだが、それは本家からもライセンス供給に値すると評価された証であろう。そしてこういう本家のブランドになる前に作られた怪しいギターの中でも、今だ手入れして使う価値があるものが見直されているのがジャパンヴィンテージギターだろう。
ブランドのライセンスというと、週刊プレーボーイが縁で日本版プレイボーイが発刊されたとか、上記を含めて知財権トラブルも新たなビジネスをはじめるきっかけとなっていたといえる。
学生時代に松下電器の洗濯機工場でアルバイトをしていた時に、ベルトコンベアに流れてくる洗濯機が、あるまとまったロットごとに欧米のいろいろな電機メーカーのプレートに変えられていくのを見て、松下は世界中に洗濯機を輸出していることが判った。当時は国内市場も高度成長期であったのだが、それにも増して世界的な評価を得ていたことが会社の大きな成長につながったのだろう。この時代の多くの日本の製造業は同じような発展をした。
今日本が外注しているアジアの製造業が自社ブランドで輸出することは始まっているし、日本ブランドで世界を市場にしている例もあるように流転を繰り返している。ただ、楽器の場合は日本ブランドが定着しても、家電は衰退してしまった。でも楽器のような仕様が曖昧模糊としたものに強い日本というのは、何かこれから先の行くべき道も暗示しているような気がする。