投稿日: Jun 20, 2011 12:44:44 AM
電子雑誌はどうなるかと思う方へ
雑誌の作り出した世界はコミュニティに近いものであることを、記事『コミュニティメディアを見直す』で書いたが、雑誌がコミュニティそのものではないのは、出版側は読者のことは直接に知らずに匿名集団として扱っていることと、読者もお互いをメンバーとして連帯を感じることは薄いからだろう。その昔は雑誌の最後のページに読者の欄とか文通欄があって、そこに実名実住所で投稿すると、全く知らない人から手紙が来てペンパルになるということがあった。特にPopsやRockに関して投稿すると、ワッと女の子から手紙が来たもんだ。あまり筆なれしていると、きっとカワいくはないのだろうな、とか考えたものである。そんなことも昔話で、今は実名実住所を載せるような雑誌媒体はないだろう。健全にデート相手を見つける方法はどうなってしまったのだろうか?
商業雑誌ではない社内報では、誰それに赤ちゃんが生まれて名前を何とつけたとか、今でも結構個人情報を掲載する。同人誌、ファンクラブ誌などの会報の類から市町村の広報誌まで、読者にとって他の誰が読んでいるのかが分かる場合は、そこに掲載される自分の情報や意見に隠すような遠慮はあまりないとか、実名はメリットがあったりするが、どこの誰が見ているか分からないような媒体では、煩わしいことが起こることを懸念して、載せて欲しくないということがある。つまり配布域が限定される紙でやってきたコミュニティ誌をWeb化したいと出版側が思っても、読者の同意が取り付けられない理由は、コミュニティ外の人には見てもらいたくないからなので、何らかの仕組みを作らないとネットでは実現できない。
しかしだからといって無料登録制でうまくいくかというと、Webではサイト訪問時にいちいちログインしてもらう方法では利用の意欲を削いでしまう。だからポータルサイトとかgmail、facebookのように利用者識別を自動化すると、爆発的に広がったのだろうと思う。このような方法が小さなコミュニティメディアでも使えるような時代になるのであろう。facebookのアプリとしてのメディアを作ればそうなる。facebookに侵食されて半減してしまったMySpaceは、何らかのコンテンツのクリエータの利用が多いので、facebookよりもメディアに近い位置にあり、コンセプトを従来の自己宣伝から情報共有とか集合知にもっていけば復活のチャンスはあるかもしれない。
つまりコミュニティ型のメディアにとっては、そのコミュニティの構成員の意思や意欲を十分に汲み取って情報のメディア化をしなければならないわけで、出版社から読者への一方通行的な情報伝達では達成できないところがある。それでも専門性の高い濃密な情報をトップダウンする雑誌の役割はなくなることはないが、それを取り囲むようにコミュニティ型の登録制で出入りが自由なネットメディアを人々が併用する時代が来るように思える。
関連セミナーFacebookアプリ制作の現状を学び、今後の可能性を探る 2011年6月24日(金)