投稿日: Apr 07, 2014 1:3:13 AM
コピペもちゃんと評価してやればよい
論文のコピペに関する意見や実態報告がネットにいろいろと掲載されるようになった。問題の発端となった某私大理科系では教員の数に対して学生の割合が国立よりも相当多く、一つの論文チェックに時間はかけられないので、提出された論文のコピペはチェックできないどころか、提出する方もコピペをして作ることが作法のようになっているという記事があった。ただしカット&ペーストでは勉強にはならないので、手書きで書き直して提出するので、「写経」に譬えられていた。つまりコピペも先人たちのことを学ぶための一つの勉強法であるというのだ。文章を手で書き直していた時代には出版でも似たようなことが日常茶飯事であったと思う。
手書き論文が多くの人の目に触れることはなく、ノートの延長のようなものかもしれないが、学位を取るとか公表される論文はそれとは区別されなければならないのが、今回はゼミ論の延長のような形であったので咎められたのだろう。
しかし今はネットや電子出版でテキストデータが手に入れやすい環境に変わったので、「写経」のような勉強法がデジタルではありえないのだから、これからどうあるべきかを考えなけれならない。つまり偉い先生たちは「ケシカラン」というだけでなく、学生さんや研究者のための新しいリテラシーを作って普及させていかなければならない。それは可能なはずだ。
一番簡単な方法は、論本提出は必ず電子文書にしてしまって、引用や参照も必ず元文書へのリンクを義務付けることである。引用のクオテーションの後ろにURLがつくとか、図版も引用したいもののサムネイルを貼って元にリンクするとか、他文献要約の場合も出典へのリンクをつけるなどをキチンと指導し、優れた文献を参照して出来上がった論文にはそれなりの高い評価が得られるという、Googleのページランクのようなやり方があってもよい。
当然ながら引用部分よりも本人自身の記述の方が大切で、そこで論文の価値は決まるのであるが、本人記述でない部分を明確にし、しかも必ず参照元をなるべく電子文書で示せば、それらを参考にして論文を書く方も読む方も非常に便利になって、話がはやい。元に電子的なテキストなどがない古い資料の場合でも、GoogleBooksやその他のアーカイブを探せればリンクを貼ることはできるだろう。
そうすればもしリンクや参照を確認する場合にも機械的にやりやすくなり、論文評価のアプリも一段と発達するかもしれない。デジタルではコピペが容易だから手書きで論文を出させるという対応はものすごく後ろ向きで、そのような考えの大学が情報分野で進んだ研究者を生み出せるのだろうかと疑問に思ってしまう。
新しい環境があらわて、そこに新たな問題が起こったとしても、それを乗り越えていく姿勢が無ければイノベーションにはつながらないだろう。