投稿日: Jun 07, 2013 1:24:20 AM
ネットのビジネスは寡占化していると思う方へ
日本でも電車の中で電子書籍を読んでいる人を見かけるようになった。さすがにiPadを電車の中で広げている人はあまりなく、Kindleの類かiPadMiniのような小さなものが多い。本は買っても読まずに寝かせておくことがあるが、いまのところ電子書籍は即読み始める人が多いようだ。コンテンツの多様性もそこそこだが、おそらく本屋の売れ筋とはずれ始めていると思う。それで紙媒体の売上下降を補うように電子書籍はなるのだろうか?
アメリカでは数年後に紙の書籍よりもeBookの方が売上が上回るという予測も出始めたが、今のところ有料のコンテンツビジネスが成長産業であるというほどの予測はあまり無い。今でも既存メディアの人は「ネットで何でもフリーになっていく」トラウマでビジネスプランが作れない人は多いと思う。若い人は、TVもなくてもいい、ビデオ・CD・新聞・雑誌・本も買わなくてもいい、というのは実態なので、それに悲観しているのだろうが、私たちの若い頃もお金はあまりなく、毎週雑誌を買うのが関の山であったように思う。音楽はFMで聴いていたし、本も図書館、ビデオ・CDはレンタルだった。
つまりメディアもバブル期のようなものがあって、それは広告につられて起こったものだったのだが、それが沈静化したのが今なのかもしれない。しかし業界は成長期の自転車操業から抜け出せずに、書籍の発行数の増加の方向にどんどん進んで疲弊した。さらに今度は電子書籍で売価の下落に直面していて、近いうちに現状の経営のやり方は崩壊するだろう。安倍さんのデフレ脱却とは逆の方向に進んでいる。電子書籍が紙媒体の売上下降を補うことは考えられず、別のビジネスプランを考えざるをえない状況にあると思う。
電子出版の可能性と課題については、記事『ボーンデジタルな出版に向けて』で、6つのポイントで考えた。これらの中でブレイクするものがあると、新たなコンテンツ市場が生まれるだろうというものである。しかし既に行われているこれらの兆候がネット&デジタルで飛躍するには、例えば記事『文化のインフラとしてのデータベース』のようなネットならではの情報環境やビジネス環境が必要であると思う。今のECはAmazonやGoogleのような環境に依存している面が強く、それらに依存している限りはビジネスのオイシイ部分は彼らがもっていってしまう。今のコンテンツビジネスのように一品一品の提供をしているだけでは彼らの手のひらの上で動いているだけである。
コンテンツビジネスが誰でも参入できて多様なビジネスとなるには、ネット上の寡占化に支配されないオープンな環境を作り出さなければならないはずだ。