投稿日: Oct 02, 2015 2:5:45 AM
私は裸祭りがあまり好きではないのは、中学生の時にあるところの裸祭りに駆り出されたからで、それ以降あまり近づかないのだが、日本の中で不思議に思っている事柄のひとつである。各地の神事では全裸で禊をするということがある。それが地域ぐるみとか大々的になると奇祭とかいわれる。
ここでは神事のことは取り上げないが、最近は観光目的で見世物化されているように思え、それはどうなんだろうなという疑問がある。全裸の禊のような伝統的なしきたりは今の社会生活には合わない面があるのだが、見せものでなければかまわないはずで、見世物化が伝統的な何かを理解させるどころか、壊しているように思えるからだ。
裸祭の奇祭にひとつに岩手県の黒石寺蘇民祭がある。そのポスターは奥州市が作成するのだが、平成20年(2008年)にはポスターの写真がキモくグロくて「女性客が不快感を覚え、セクシャルハラスメントに該当するおそれがある」としてJR東日本が駅構内での掲示を拒否した。そのことがニュースとなって全国的にこの蘇民祭が注目され、テレビ報道による広告効果は約31億円近くになると試算したところもあった。
とはいってもこのポスター写真はヤラセではなく、前年の蘇民祭の取主(とりぬし=奪い合う蘇民袋の首にいちばん近い部分を持っていた者)で、神事として行っていたものだった。
蘇民袋を切り裂いてバラ撒く親方は全裸で、奪う参加者の方は極小フンドシなのだが、ポロリもあったようだ。古くは全員全裸であったらしい。この祭りが有名になったので、2008年に岩手県警水沢署は「宗教行事であってもわいせつ物陳列罪が適用され得る」と警告し、規制が強まっているし、部外者の野次馬の参加も増えているようである。全裸の行事は途絶えてしまったが、全国には全裸の行事に参加したいという人は多くいることもわかった。
件の平成20年のポスターを他の年と比べると次のようになる。
平成20年だけグロイ(不快)というのはあまり根拠がないように思えるが、個人の表情があってインパクトがあることは確かだ。秀逸といえる。右下の平成27年は一番面白くなく、やはり人のダイナミックな動きが表現されている方が祭りのポスターとしては良い気がする。よいポスターとは反発も大きいのだろう。