投稿日: Mar 23, 2013 1:42:54 AM
メディアが質の低下していると思う方へ
イケダハヤト氏の記事がハナクソだとかユル杉とか、薄い、ゴミ云々というプロの人たちは多いが、それはどこかで見つけた情報に簡単にコメントしただけのものを記事と称して、自分がさも何かのキュレータか専門家面していることが気に入らないのだろう。しかしこういった素人ぽいライターの登場は今に始まったことではなく、Webとともに進展してきたことではあるし、今後の自主出版にも通じることで、従来メディアと言われた世界は全てこのようにコモディティ化しまうだろうことを、従来のメディアのプロは気がついていない。
またネットでちょっと有名になって紙の本を出したからといって、従来の本の著者として印税生活ができるようにもならないだろう。コモディティ化したメディアでは一部の有名人以外は大した金も評価も得られない状態になる。一億イケダハヤト化とでもいおうか…
ネットを見ていて、これは!と思ったニュースや情報があるとbookmarkをするという機能はブラウザとともにあったが、これが発展してblog(WebLog)になったり、ソーシャルブックマークができたりと、メディア化していった。それがニュースや記事単体ではなく、似た指向のものが集まるようにしたtweetやfacebookその他いろいろなソーシャルメディアといわれるコミュニケーション化がされてきた。つまり、コンテンツ→メディア→コミュニケーション、という順番に発展してきたことがここでもわかる。
関わる人間の方は、ライターは誰でもなれるようになれば、数の上ではゴミ記事が増えるのであるが、従来のメディアには載らなかった情報も探せば得られるようになるので、メディアの「半プロ」の人には大変な質的貢献をもたらしている。メディアの「半プロ」とは、お金をもらわないのにプロのようなことをしている人のことで、例えば学術論文の査読は編集者と同じような作業を伴うが実際は殆どお金は入ってこない。つまり出版関係者でなくても、また学術研究でなくても、企業活動の中においても、知的生産をする仕事には高い検索能力やまとめ能力が必要なので、必ずメディアの「半プロ」というお金を伴わないキュレーション的な活動がある。
この人たちは従来のメディアのプロと比べると非常に限られた対象に情報提供しているので、メディアの売上からのリターンは得られない。だから従来の出版ビジネスの仕組みには乗らないのだが、冒頭のように既存メディアが質の低下に向かう中では、新たな価値として見直され、何らかの新しいモデルができるようになるのではないだろうか。
コミケは趣味の集まりだが、何千人が何百部の媒体を作って売っていて、それらはオーバーオールで3日で1億円規模の取引になっている。この規模では既存のメディアのプロが入る余地はないのだが、専門情報も含めてコミュニティ型メディアはみんなこのようなものだろう。出版ビジネスは長い目で見ると、かつての「コンテンツありき」から、TPOにかなったメディアで販売機会を多くすること(現在)を経て、コミュニティに奉仕するオンデマンド型のものへと発展していくのだろう。