投稿日: May 29, 2013 1:42:10 AM
欠けているマンマシンインタフェース
ヤフオクでYamahaのテノリオンが投売りされているのがあった。一般の人にはどう使ったらよいか判り難いのであろうが、テノリオンの登場時には電子楽器の新しい世界が拓けるかと思ったほど、既存のどんな楽器の延長でもない使い方のヒントが湧いてくるものだった。しかし同時に既存品の延長でないことは普及が難しいだろうなということと、どこか誰かスーパープレーヤーが登場して使って見せたら、爆発的な普及をするかもしれないなと思った。これは半分あたっていて、現状では普及が難しい状況である。まだ有名音楽家がテノリオンをメインの仕事に使いこなしたてヒットを出した話は聞いていない。
電子オルガンやシンセサイザから始まった電子楽器は、なかなかアナログ楽器のインタフェースから脱することが出来ないでいる。これはコンピュータのマンマシン・インタフェースの問題である。キーボードやマウス操作は打ち込みくらいはできるが、それで実演奏はできない。iPhoneアプリでピアノとかギターというのがあるが、それはオモチャでしかなく、それによってすばらしい音楽がクリエイトされるところには行かない。すばらしい結果を出さない道具は廃れるだろう。これはコンピュータが廃れるという意味ではなく、今のタッチインタフェースは万能ではなく、それに代わるものが出てくる、あるいは補うものが出てくるはずだ、ということである。
動画編集もコンピュータのCPUがこんなに速くなったのに、マンマシンインタフェースはジョグコントロールよりも先には行っていない。本来なら両手と10本の指をフル活用するようなインタフェースが開発されて、きめの細かい編集も迅速にできると、CG映像制作も敷居が低くなるはずなのだが…。キーボードとマウス操作の限界を超えるのにUSBやBluetoothなどの電気的インタフェースは都合が良いはずなのに、手先指先のところのインタフェースデザインで革新的なものが出てこない。だからここがデザイナの新たなチャレンジの場所になると思う。
例えば絵を描くのに10本の指を絵筆にみたてて、指先にキャップをはめて、タッチパネルのような上で、それぞれの指にブラシと絵の具の色とを簡単に割り当てて、ブラシや色の切り替えを迅速にして描くことなぞできそうに思うのだが。これは消しゴムの機能は、本物の消しゴムのようなサイズの小さなデバイスを横に置いておいて使うようにすれば、覚えるという要素は減る。一時はWiiがいろいろなインタフェースのガジェットを作っていたので、そういう延長にユーザインタフェースの革新があるのかなと思ったが、ニンテンドーの使命はインタフェースの拡張ではなかったようである。
最初は子供のオモチャでもいいから、直感的マンマシンインタフェースを進展させれば、ユビキタスなコンピュータの応用分野は広がっていくと思う。