投稿日: May 16, 2014 12:33:26 AM
小手先では解決できない問題は…
廃プラスチック油化装置というのはかなり前から話題になっては消えるということを繰り返していると思う。おそらく日本のように人件費の高いところでは再生された油は原油から作った油よりも高くなってしまうと思われる。それは廃プラスチックを大量に集めることができないからである。つまりプラスチックを油化する技術の問題よりも、廃棄物処理やごみ処理をめぐる課題があるからだ。
この技術が無意味であるというのでない。石油が手に入らないが廃プラならいっぱいあるという場所があったなら役立つだろう。しかしそんなところがいっぱいあるだろうか?
工場などの産業廃棄物として廃プラが大量に出る場合は、たいていは組成の一定したものなので、場合によってはそのまま再利用できる。日本のレコード会社は売れ残りを回収してまたレコードにしていたようなものである。もし油化するとしても年間の廃棄物の量とか油の必要量がだいたい決まっているので、どのくらいの設備投資とか運用なら採算がとれるか計算できる。あるいは他のゴミと合わせて自家ゴミ焼却発電をして電気代を節約するとか熱エネルギーを直接利用することもできる。
しかしこれが一般家庭ごみの場合は事情が異なる。ゴミの発生は物品を分散させた結果として生ずるものなので、ゴミの分別回収のような集め方が必要だし、それは自治体と協力し合って進めるとしても、ゴミを保管しておく所が都市にはないのである(作ろうとすると反対される)。つまり回収したものを持っていく場所は遠方になり、おそらくそういったことのハンドリングで、ホースとタンクで処理できる石油よりも相当コストがかかるはずである。
だから都市の中にすでにあるゴミ焼却場に油化装置をつくれば搬送コストはかからないはずだが、そんなことよりも現在重油をかけてゴミを燃やしているかわりに、廃プラを燃焼材にすることがおこなわれているので、廃プラが油化で無くなったらいゴミ燃焼にまた重油をかけなければならなくなって、いったい何をしているのかわからない状態になるだろう。
つまり、廃プラを減らしたい、リサイクルしたい、油の輸入を減らしたい、などなどの想いがあって、関連したトピックをつぎはぎしているうちに、一見するとよさそうなソリューションに辿りつくが、実際にやってみるとなると難問がある、ということを過去20-30年間繰り返してきたように思う。
これのソリューションは簡単で、石油製品をなるべく作らないようにするのが唯一の解決の道である。それはスーパーのレジ袋が半減したように、やれることがまだいっぱいあるのに放置していたことに問題がある。プラスチックに限らず日本国内で大量消費をする習慣をなくしていくことをベースに考えればいいのだが、使い捨てを抑制するゴミ税はなかなか実現しない。製品を作る時点で、その製品が役割を終えてゴミとなる時の処理費用を税金として事前に差し引く考えである。
省エネ指向なくしてエネルギーも電気もCO2も語れないと思うのだが…