投稿日: Jul 16, 2015 12:15:28 AM
最近また印刷会社の倒産が増えている気がする。昔々名前を聞いた会社が倒産情報でよく目にするようになった。だいたいがここ数年で急激に売り上げが落ちている。最近の資材値上げがとどめを刺したのかもしれない。印刷需要の下降は前世紀末からみな覚悟はしていたはずだが、事業のドメインを切り替えることは容易でなかった。だから会社の売却とか自分で幕引きをすることも選択肢ではあって、ソフトランディングした印刷会社も相当数あり、そうならなかった会社に最後通牒が突きつけられているのかもしれない。
前職では新規ビジネスのための調査を継続的にしていたので、印刷物でなければならない理由がはっきりしているもの以外は、デジタルメディアに流れるのは時間の問題で、そういった動向が顕著になる場面を捉えてはセミナーや研究会をしていた。印刷業界に伝えきれるものは伝えたと思うのだが、リアクションは必ずしもよくなかった。儲かっていた時代には新たなチャレンジをしていた会社も、余裕がなくなるとデジタルメディア対策はどんどん後回しになっていった。
事業ドメインを変更するための最大の要素は経営者自身の覚悟であるが、次に後継者問題がある。過去の事業の中で新たな事業に挑戦する中間管理者などが育つはずがないからである。幸いに社長の子息が新しい経営に挑戦してみようと考えたとしたら、何とか粘って10年後くらいに成果がでるかもしれない。創業者の親族でないと何年も成果をみないまま挑戦を続けることができないからである。
そういう会社でデジタルメディアに乗り移ろうとしている会社は応援したい。特に現在必要なことは、メディアを発注する会社と、制作を受注する会社の間のシナジーである。IT時代の幕開けにはSIerが「これで万事うまくいきます」という「ソリューション」を売って歩いていたが、実際のソリューションは個々の事業ごとに異なるもので、テンプレート化した提案書では何ともならない。
つまり一発芸のソリューションではなく、試行錯誤しながら「改善」を続けていくことで、その事業にふさわしいデジタルメディアは出来ていくのである。そのためにハッタリではなく、誠実に付き合う関係が必要になる。そういう関係作りをコンサルしていくのが現在の焦点になっている。