投稿日: Nov 03, 2014 1:7:25 AM
スマホの利用者を考えれば新聞をとっていない人でも何がしかのニュースには接しているわけで、ネットの情報流通量は既存のマスコミに比べても大変大きいものになったことはことはわかる。ネットのメディアにはコメントをつけるとか「いいね」押すとかレスポンスがつけられるので、コンテンツの編集に機械処理が利用できて、既存のパッシブメディアよりは有用なメディア(プルとかパーソナライズとか)になると言われたものである。ニュース系ではそういう特徴をうたったものもあるが、実際にはまだ既存マスコミを超えたという評価には至っていないだろう。
いやひょっとすると世界のどこかでは既存のマスコミを超えたネットメディアが出現しているかもしれないが、日本ではコメントがつけられたとしても炎上とか暴言くらいしか印象が無い。つまりあるコンテンツに多くレスがあったとしても、そこで何かが生まれたとは思いにくいことが多い。確かに多くの人が見たコンテンツであるとはいえるのだろうけれども、見た人が反射的に反応しているだけで内容を消化しているかどうかは疑問である。
ネットメディアがPVを稼ぐことだけが目的ならばそれでもいいかもしれない。むしろ反射的な反応を引き起こしやすい、いい話、ケシカラン出来事、癒やされる可愛いものにコンテンツは傾斜していく。しかしそういうものがいくら増えても情報伝達の役割を果たしているとは言い難い。
炎上が起こる場合は、たいていは元の情報をちゃんと理解していないことから、主題が逸れて議論が発散してしまって、感情的な書き込みが増えている。これは伝言ゲームでは情報が変質しながら伝わっていくのと同じようなことだと思う。
内容的に意味があるニュースとかコンテンツがネットに上がったとしても、それはタイムラインに埋もれていって、1週間後にもう一度振り返って読むことは難しくなる。1か月とか半年後にちゃんとしたコメントが付いたとしても、それは殆どみられることはない。紙メディアの場合も煽った記事で訴訟沙汰になって、1年後にお詫び記事がほんの少し出ても、煽った記事を帳消しにはできないようなもので、ゴシップとか煽りは先にやったもの勝になってしまうのがメディアである。これは紙でもネットでも一緒である。
つまりスポーツ新聞とか大衆紙・週刊誌のようなネットメディアは登場したものの、それらを超えるようなメディアにはなっていない。これを突破するには、伝言ゲームのような情報劣化を防いで、テーマに関連した過去の意味ある情報が忘却の彼方にならないようなものを考えなければならないと思う。
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