投稿日: Jun 10, 2013 1:41:53 AM
デジタルのビジネスは絵に描いた餅か?
Googleはあらゆるものをデジタルでアクセス可能にするということで、検索エンジンからスタートして地図や図書なども膨大なデジタルデータとして管理するようになった。いわゆる電子書籍ビジネスの文脈ではGoogleはeBookビジネスにはそれほど熱心には見えないが、図書館の蔵書などは2000万冊以上をデジタル化したように聞いていて、おそらく世界でGoogleにかなうものは他に無いことになろう。ただGoogleはそれですぐに何らかのビジネスをして費用の回収をしようとはしていないので、一体Googleの中でこういったコンテンツに関してどのようなR&Dがされているのか判らない。
日本は cool japan に関連して文化庁がデジタルアーカイブ関係のプロジェクトを続けているが、そこで考えたり試みたようなことはすでにGoogleが経験しているのではないかという気がする。膨大なアナログコンテンツの海に挑戦する試みは1980年代のマルチメディアの時代からあって、日本が主導したTV-anytimeはスマートTV時代に表舞台に出てくるかと思いきやAndroidとの関係がどうなるのか、ビミョーな時代になりつつある。彼らアメリカ勢の戦術の方が上まっているからである。
このAndroidでもAppleのやることでも、規格やデータ構造などの論議よりも先にアプリケーションがあって、規格の充実や仕上げはサービスを提供しながら徐々に行われるという場合が多い。こういうやり方は人々が利用している間にいろいろ仕様が変化してしまって、ちょうど今のEPUBリーダーの癖のような混乱が生じる。しかし彼らはそんなことは百も承知で、だけどもこういうやり方の方がユーザーのフィードバックがすぐ更新に反映するので進歩が速いと言うだろう。こういう経験を経て、どのようなコンテンツビジネスが可能なのかシナリオが描けるようになるのだろう。行動を伴わないと絵に描いた餅の世界から脱出できない。
日本のデジタル放送は随分前から規格は出来ているのにも関わらず、放送がデジタルになっても番組はアナログ時代に何も変わらずに、スマートTVで先行できなかったことを反省してみるべきだ。文化庁のホームページには補助金事業でどのようなことがされているかの情報があり、その事業主体としてコンテンツビジネスをしているところや、大学が名を連ねている。ある意味では調査やデータ構造の検討はキリのない作業なので、それらを元にどんな利得があるサービスが可能なのかに焦点をあてて、今までのコンテンツ関連補助金事業のまとめになるようなことをして、成果を世に知らしめればよいのではないかと思う。
しかし、お役所のテリトリーとしてはコンテンツを元にしたサービスは経済産業省のコンテンツ課の役割かもしれない。つまりお役所の縄張りを超えるようなプロジェクトをしないと、実際の cool japan のビジネス化にはつながらないのではないかとも思える。コンテンツビジネスのシナリオを置き去りにして日本がモノ作り復活を目指して4k画像に挑戦しても部品工場になるのが関の山ではないか。