投稿日: Mar 02, 2012 12:26:40 AM
ソーシャルメディアマーケティングはダメなのかと思う方へ
最近、日経などのソーシャルメディアマーケティング(以下SMMと略)の軽い記事に対しての批判をよく見聞きするようになった。当たり前のようだが今までのマスマーケティングの代わりにSMMを使って何か得られるわけではなく、日経がSMMとして取り上げているマスプロダクツのキャンペーンでも、同時にTVなどのマスマーケティングも行っているので、そのキャンペーンに成果があったとしても、どこまでがマスでどこがSMMか、あるいは複合要素は何か、というのは判然としない。つまりSMMが増えた分のコストパフォーマンスの向上は分析されたものはまだ出ていないと思える。それなのにSMM万歳というのは軽率だと言われても仕方が無い。
お金がなくてマスマーケティングができないようなニッチな分野ではSMMによって潜在顧客とのコンタクトが広がる可能性が拓ける。しかし一人でがんばってSNSをシコシコやっていれば何とかなる程度では、しいてSMMと呼ぶほど新味のあるものではなく、SNSとは別にITによるマーケティングのプラットフォームが生まれないことには、マーケティング全体を変えるようなものにはならない。これは例えばGoogleのリスティング広告というのが、ロングテール広告という分野を築いたようなもので、従来のマーケティングでは考えもしなかった別途のアルゴリズムが必要になる。
昨今Googleが3月1日に発効する新プライバシーポリシーに関してプライバシー上問題だという議論もあるのは、Googleが提供する個々のサービス利用に関するデータを統合的に扱おうとすることへの懸念とか反発であるが、それで本当はGoogleが何をしたいのかは見えていない。おそらくリスティング広告の単純な延長ではなく、大胆に進化した着想があるはずだが、それが何かを想像できる人はあまりいないのだろう。もう企業活動に伴うものとかWebやスマホのアクセスでもBigDataはあるのだが、それからどんな価値を見出すかという着想が日本では全然追いついていない。特に広告やベンチャー企業は主観的な面白そうなことを模索する傾向があって、そこからビジネスに結びつくSMMは出てこないだろう。
このBigDataの分析や利用の着想こそがソーシャルメディアと企業活動の間のギャップを埋めるものである。リスティング広告は検索エンジンを使うものであったのだが、そもそもGoogleは検索対象から広告を排除するメカニズムをもっていたからこそ、それを逆手にとったプラットフォームのサービスができるようになったのだと思う。Googleは統計処理において客観性を重んじて恣意性がありそうな部分を排除してきたと思うが、SMMにおいてはむしろ恣意性こそが関連付けの鍵になるはずだ。だから単純なソーシャルグラフの利用ではなく、マーケティングをしたい人の恣意性を活かすようなアルゴリズムをすでに持っているのではないかと思うのだが…。こんな話に付き合う人はいるのだろうか?