投稿日: Apr 12, 2013 12:49:35 AM
行き詰まらない方策を求める方へ
桑田さんが東大野球部のコーチか何かしているNHK報道で、外郭低めに正確に投げる練習を積めばよいと力説していた。そんなことは知っていると選手は思っただろうし、テレビ見ている人も当たり前だと思ったかもしれない。大抵の人はどうすべきかは知っていても、自分はそれは苦手だということで後回しにしてしまうところを、桑田投手はそればかり日々練習していたように受け取れる。そういう自虐的で偏執狂的な努力を積み重ねられるかどうかが、大物になれないかの、一つの分かれ目のように思うし、自分の嫌なことに対して努力するには合理的な理解と自己管理能力が必要だろうと思う。
さて日本のベンチャーは自分のやりたいことをやるという理由で始めたとしても、野球を志すならプロを目指すように、経営が成り立っていくような合理的な理解と自己管理能力を持ち合わせなければならないし、そのためには「やりたいことをやる」はずなのに「自分の嫌なことに対して努力する」ことも伴わなければならない。これを成り立たせるには、「やりたいこと」と「嫌なこと」が自分にとって同列ではダメで、「やりたいこと」に使命感を持つとか大きなビジョンがあるなど、「嫌なこと」よりも遥かに大きな動機が必要になる。
だから「やりたいこと」が「ちょっとイイね」程度で、むしろ「会社は楽しくない」みたいなエセノマドが何も成果を残せないのである。特にソーシャルビジネスのような既存の枠組みでは金儲けにつながら無そうなものは、やる社会的な意義を感じたとしても、「苦手なこと」「嫌なこと」もいっぱい克服しないと成立しないので、自分を常に駆り立てる何か、あるいは自分のビジョンを高める何かがなければやっていけない。
日本人に苦手なのは、Steve Jobs のような自分を強烈に駆り立てるものをあまり持たないことで、目標も低ければ、途中で簡単に投げ出してしまう(止めるのならまだいいが放置してしまうこと)傾向がある。Steve Jobs はユダヤ人ではないがユダヤの格言を使っていたことがあった。藤田田もユダヤ人から影響を受けたところが大きいと思う。日本でも近江商人とか何々商人という言い方の中には、自分が何のためにやるのか、人々や社会との関係はどうあるべきか、など経営を永続させ高める指向がそれぞれ見受けられる。
ソフトバンクの孫さんも藤田田さんから影響を受けたのだと思うが、ITという新しい分野だから一切過去の伝統とは無関係にビジネスができるわけではなく、やはり生身の人間として自分を高めようという気概無しにはベンチャーもノマドも成り立たないと思う。